ウクライナ戦争で加速する北方領土のロシア化 プーチンが強化した“政策”で、返還は不可能に?
ウクライナやイスラエルで戦争が続くなか、ロシアが実行支配する北方領土では“ロシア領北方領土が”いっそう顕著に。
もうすぐ、ロシアがウクライナへ侵攻してから2年となる。
■戦後最悪の日露関係
日本はウクライナ側に立ち、ロシアへの経済制裁を強化し、ロシア外交官を国外追放にするなど、日露関係は戦後最悪のレベルにまで冷え込んだ。
しかし、それは今でも続き、今後も日露関係が改善する見込みは見えない。そして、それによって日本が求める北方領土4島の返還はいっそう難しくなっている。
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■北方領土旅行を強化
それによって、プーチンはロシア市民の北方領土旅行を強化している。ウクライナ戦争が始まって以降、ロシアと諸外国の関係が悪化し、ロシア人は以前のように簡単に海外旅行できなくなっている。プーチンはそういった環境をプラスに考え、「海外旅行できないなら国内旅行を強化しよう」と、ロシア市民の北方領土観光を強化し始めたのだ。
最近、モスクワなどでは国内旅行をアピールするイベントが頻繁に開催されている。プーチンは人口が少ないロシア極東の観光を国民に積極的に進め、それに乗じる形で、北方領土の島々の温泉やビーチなどの自然を楽しむため現地を訪れるロシア人が近年激増している。
ウクライナ侵攻後の2022年、北方領土を旅行したロシア人は9万人近くに上り、今後も増加傾向が続くと見られる。
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■北方領土のロシア化を進めるプーチン
プーチンは今後もロシア人の北方領土旅行を強化し、現地にレジャー施設やホテルなどを誘致し、また中国企業との関係を強化するなどして、北方領土のロシア化をいっそう進めることは間違いない。
ウクライナ戦争によって、北方領土周辺の海域で操業する漁師たちも、安全して漁業できないと懸念を強めている。“北方領土ロシア”はいっそう現実味を帯びてきている。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)