ハトひき殺した運転手が「鳥獣保護法」違反で逮捕、この法律のどこを注意しておくべきか?
道路でハトをひき殺したとして「鳥獣保護法」違反の疑いでタクシー運転手が逮捕。ネットでは困惑の声が相次いでいる。
都内路上でハトを1羽ひき殺したとして、50歳のタクシー運転手が鳥獣保護法違反の疑いで逮捕された。この異例の逮捕劇を受け、ネットでは「鳩ひいたら捕まるの?」「フェイスニュースだとばかり思ってた」と疑問の声が数多く上がっている。
動物との衝突は運転中にありえなくもないケース。どこに問題点があったのか環境省に聞いた。
■「道路は人間のもの」と主張
報道によれば、容疑者男性は13日の午後、車をわざと急発進させ車道上にいたハトの群れに突っ込んだという。そのアクセル音に驚いた通行人が道路を見るとハトの無残な姿があり、110番通報。警察の取り調べに対し、容疑者は「道路は人間のもので、避けるのはハトのほうだ」と供述しているということだ。
ネットでは、運転手逮捕の報道を受け「軽くクラクション鳴らすと飛び立つのに」「悪意を持って命奪っとる」「こういう傲慢な人の車に乗用するなんて怖くて無理」とドライバー側を非難する声が次々上がっている。一方で「逮捕ってやりすぎだろ…」「生類憐れみの令」「田舎で鹿や狸ひいたら警察に捕まるってこと?」と困惑する声も多い。
なかなか聞き慣れない「鳥獣保護法」違反での逮捕劇。一体どんな法律なのか、環境省の担当部署を取材した。
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■許可ない殺傷・駆除という認識
環境省野生生物課・鳥獣保護管理室の担当者は、この日各メディアからの問い合わせが殺到する中、sirabee記者の取材に応じてくれた。
鳥獣保護法について問うと、「同法は、鳥獣の保護や狩猟の適正化のために存在する法律です。野生の哺乳類と鳥類の無許可な捕獲・殺傷、卵の採取を禁じるもので、明治6年に施行された『鳥獣猟規則』がベースとなっています。今回のケースは、鳥獣保護の観点からすると、『許可なく殺したこと』が法律に抵触すると思われます」と解説する。
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■意図の有無が焦点
地域によっては、道路に野生動物が飛び出してくるケースも多々あるだろう。不意に運転している車がハトとぶつかり殺めてしまった場合はどうなるのか。
担当者は「場合によっては、司法の判断になる部分もありますが」という前置きをした上で、「意図せず殺傷してしまった場合は、同法に抵触しない可能性が極めて高いです」と回答。
「この法律は野生動物の保護が目的ですから、仮にその行為を行った際、殺傷に至ると予想できる場合は法に抵触します。例えば、鳥が営巣していることを知りながらその木を伐採してしまうというようなケースです」と続ける。
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■駆除には自治体の許可が必要
ざっくりまとめると、ハトやカラス、その他野生動物を無許可に駆除・殺傷した場合は罪に問われることになり、駆除する場合は都道府県や市町村に申請を出し許可が必要ということになる。
公衆衛生に害を及ぼすネズミや、農林業を営む私有地に現れるモグラなど一部例外あるものの、「道路はハトのものではない」と故意にひき殺す行為はアウトなのだ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤)