アニサキス撲滅を目指す装置、全人類を救う性能に驚き… 開発者が明かす「秘話」が最高

アニサキス撲滅のためのクラウドファンディングが盛り上がっている。この研究には様々な苦労があったようだ。

2023/12/09 04:15

刺身

サバ、アジ、さんまなどの魚介類に寄生するアニサキス。そうした魚介類を生の刺身で食すことで発症し、みぞおちの激しい痛みや嘔吐などの症状に見舞われる。

現在、ネット上では「アニサキス撲滅」に向けたクラウドファンディングが注目を集めていて…。

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■アニサキス撃退のクラウドファンディング

アニサキス今回紹介するのは、熊本大学で行われている「日本の生食文化を守りたい 新アニサキス撃退法の社会実装へご支援を」のクラウドファンディングプロジェクト。11月8日午前10時から12月26日の23時まで実施中だ。

アニサキス

同大学は、2021年にパルスパワーと呼ばれる瞬間的な大電力をアジの刺身に打ち込むことで、アニサキスを殺虫する世界初の技術を開発。ただ、電圧をかける装置の開発には多額の費用がかかり、アジ以外の魚には実証実験が進んでいないことから、クラウドファンディングを実施したのだ。


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■将来性に期待する声続出

この取り組みはSNSでも拡散され、11月にスタートしたところ、わずか1週間で第一目標金額である400万円を達成。12月8日時点では第二目標金額の1,000万円を越えている。

これまで、アニサキスは事業者が手作業で取り除いていたため、画期的装置はネット上でも話題に。「アニサキス絶対殺すマシーンとか頼もしすぎる」「見る見るうちに目標達成しとる」「アニサキスに恨みがある同胞がたくさんいるのか…」「実用レベルになったらサンマの刺身とかバリバリでそう」など、将来性に期待する声が続出。

近年、テレビでアニサキスの被害が盛んに報じられるようになり、刺身を食べるのを躊躇する人も少なくない。実現すれば、全人類を救う装置になるだろう。

件の装置はいかにして生まれたのか。熊本大学に取材したところ、様々な「舞台裏」が明らかになったのだ…。


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■アニサキスの研究を始めたのは…

今回取材に応じてくれたのは、熊本大学産業ナノマテリアル研究所の准教授・浪平(なみひら)隆男氏。電力でアニサキスを殺虫する研究を始めたのは、2017年だったそう。

アニサキス

浪平氏は、「私の専門分野は電気工学なので、当初アニサキスの存在も知りませんでした。福岡のジャパンシーフーズという水産加工会社から、アニサキスの問題で生の刺身を売るのが難しくなっており、このままだと生の刺身が食べられなくなる可能性もあると聞き、何とかしたいと考えたんです」と話す。

アニサキスを電力で死滅させる装置を開発するのは、易しいものではなかったという。

浪平氏からは、「アニサキスを殺虫すること、刺身の品質を保つことの2つを両立させなければなりません。パルスパワーの電気エネルギーを入れれば入れるほどアニサキスは死滅しますが、刺身にもダメージが出てしまうんです」という苦労を窺わせる回答が寄せられている。


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■最終目標はジビエ、その理由は…

クラウドファンディングは、開始から1ヶ月経たないうちに第二目標の1,000万円まで達成した。第三目標は馬刺しやジビエに拡大する1,600万円だという。

ジビエまで広げようと思ったのには理由が。浪平氏は、「2011年に寄生虫の問題で馬刺しはすべて冷凍になりました。生であれば、馬刺しの品質の良い・悪いを見た目で判断することもできますが、冷凍になると見た目ではなかなか判断がつきません。選ぶ楽しみがなくなってしまうと思ったんです」と説明する。

また、21年にパルスパワーの装置ができた頃、馬刺しメーカーやジビエの飲食店の知人から、「馬刺しやジビエ料理を生で提供したい」と言われたこともあったそうだ。ここまで大きい目標を掲げ、着々と実現に向けて進んでいるのは驚きである。

日に日に盛り上がりを見せるアニサキスのクラウドファンディング。

今回の反響に対する思いを尋ねたところ、浪平氏からは「やる前は、第一目標さえ達成できないのではないかと不安でした。届かない金額は、自分で寄付するのかと想像していましたから(笑)。これほどたくさんの方に支援いただいて、研究していて良かったと思うと同時に、少しでも皆さんの期待に応えたいという思いが強くなりました」というコメントが寄せられた。

いつの日か、この装置が実装され、生の刺身を安心して食べられる日が来ることを期待したい。


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■執筆者プロフィール

斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。

某週刊誌の芸能記者を経て現職に。ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に様々なジャンルを取材する。

チェーン店からローカル店まで様々な飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。

今期の推しは、『コタツがない家』(日本テレビ系)、『いちばんすきな花』(フジテレビ系)、『ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~』(日本テレビ系)。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

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