軽井沢町が「電動キックボード」に関する異例の声明文を発表、その真意を町役場に聞いた
軽井沢町で起きた電動キックボードによる死亡事故。町は利用についての声明文を掲載した。
長野・軽井沢町は今月、町内で発生した「電動キックボード」利用者の交通死亡事故を受け、「公道での使用を控えるなど、最大限の配慮をお願いします」と、自治体としては異例となる注意喚起を行った。
■12月1日に町内で死亡事故
26日、「電動キックボードの町内での使用に関するお願い」というタイトルの声明文を公式HPに掲載した軽井沢町。
「12月1日、中軽井沢の国道18号線上ノ原交差点で電動キックボード利用者による痛ましい交通死亡事故が発生しました。軽井沢町及び関係団体としては、この事態を重く受け止め、再発防止に向けて取り組んでまいりますので、関係する皆様のご理解とご協力をお願いいたします」と、冒頭で事故の経緯について触れた。
電動キックボードによる走行が道路交通法上認められていることを説明した上で、「これまで保健休養地として培われてきた軽井沢町の安全な交通環境を損なうことのないよう、電動キックボードの公道での使用を控えるなど、最大限の配慮をお願いします」と、利用を見合わせるよう警鐘を鳴らしたのだ。
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■規制緩和で拡大するブーム
7月1日の改正道路交通法施行によって、16歳以上なら無免許でも車道走行可能となった電動キックボード。
車道走行時の最高速度は20km/hまで、歩道では6km/hの速度までなら走ることができ、ヘルメット着用が「努力義務」という手軽さもあって都心部では利用者が急増中だ。
反面、転倒事故や衝突事故、酒気帯び運転など各地でトラブルも頻出しており、前述の軽井沢町で起こった事故では電動キックボードが高速バスと衝突し、キックボードに乗っていた女性(39歳)が脳挫傷で死亡している。
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■町の思い
自治体発信としては異例となる今回の声明文。軽井沢町に話を聞いたところ担当者は、観光地であり別荘地である町だからこそ迅速に発信すべきだったと説明する。
「電動キックボードは便利でエコな乗り物。持ち運びがしやすいので、コロナ明けから急増している観光客や別荘所有の方が持ち込むケースが散見されています。一方、ヘルメット無しで利用されるケースが多く、ひとたび交通事故が起きれば自分の身を守ることが難しい。タイヤが小さく、重心が高い分、少々の段差でも転倒してしまうリスクをはらんでいるので、悲しい事故をうけこのたび発表に至りました」(軽井沢町担当者)。
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■「事故を防ぎたい」
自転車走行時でも車道を通る際は危険が伴う。乗り慣れていないキックボードなら、運転の慎重さと交通ルールの正しい理解がさらに必要となるが、利用者の意識はまだまだ低いように思える。
「現在、軽井沢には東南アジア、特に中国からの観光客が多く、今後さらに利用者増が予想されます。もちろん、町として電動キックボードを否定するわけではなく、せっかく町に来て下さった方々の事故を防ぎたい、という思いなのです」(軽井沢町担当者)。
このたびの声明文は地元メディアでも広く取り上げられた。二度と今回のような悲劇が起きないよう、町も発信を続けていく。
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(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤)