「エゾリスにエサをあげないで」注意看板が増加、一体なぜ… 餌付け行為の問題にショック
北海道に生息するエゾリスは愛くるしい姿で人気だ。ただ、エゾリスに対する餌付け行為が問題視されていて…。
北海道全域に生息するエゾリスは、愛くるしい姿で人気だ。だが、道内のある公園では人間による餌付け行為が常態化し、問題視されている。
取材を進めると、餌付け行為が招いた弊害が明らかになって…。
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■「エゾリスにエサをあげないで」
昨年11月、『北海道新聞』でエゾリスに対する餌付け行為の問題が取り上げられた。同紙によれば、北海道帯広市内の緑ヶ丘公園で、エゾリスに餌を与えないよう「野生動物にエサをあたえないでください」と注意喚起する看板を増設したという。
エゾリスは北海道に広く生息し、地元民にとっても、観光客にとってもマスコット的な存在。だが、エゾリスに落花生などをあげる人が後を絶たないのだ。
なぜ、これほど餌付け行為が増えたのか。緑ヶ丘公園を管理するみどりと花のセンターに話を聞いた。
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■餌付けが招いた弊害に愕然…
みどりと花のセンターの担当者によれば、エゾリスへの餌付けが始まったのは約35年前だという。現在、エゾリスは広く認知されているが、当時の人々の見方は異なったようだ。
担当者は、「環境系まちづくり団体『エゾリスの会』が緑ヶ丘公園で見られるエゾリスの頭数を調査したところ、当時はエゾリスが1~2頭しか生息していないことが分かりました。同会によれば、公園を訪れる人がエゾリスに慣れておらず、リスに石を投げる人が頻繁に見られたそうです。そこで、『エゾリスの会』は多くの人々にリスが住む公園を大切にしてもらおうと考え、人がリスに慣れるため、帯広市の許可を得て公園内に餌台を設置し、リスの食事風景を見せることにしたそうです」と説明する。
餌台設置により、エゾリスを攻撃する人は減っていき、親しみを持つようになった。その後、野生動物と接触することで感染症等にかかるリスクがあると判明し、餌台は撤去された。
だが、餌付けする習慣が根付き、無許可で餌台を設置する人や手渡しで動物に餌を与える人が後を絶たない状態になってしまったのだ。
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■一向に減らない餌付け行為
餌付け行為が常態化した結果、エゾリスだけでなく、シジュウカラなどの野鳥が公園の利用者の体に乗ることもあったそうだ。2020年9月から野生動物に餌を与えないよう注意を促す看板を掲出し、注意を呼びかけている。
だが、餌付け行為は一向に減る気配がないという。担当者は、「21年6月から22年2月の弊社の調査では、少なくとも197件の餌付けが確認され、餌付けごみ(食べ残し等の生ゴミ)を約20kg回収しました。また、餌付けを良しとする利用者と反対の立場を取る利用者が口論になったケースも数件見られたほか、エゾリスが体に登りツメで怪我をする人などが見られました」と表情を曇らせる。
こうした背景もあり、対策を強化することになったのだ。担当者からは「餌付けが増える季節の冬から翌春にかけて、園内の看板の増設のほか、帯広警察署と合同でリーフレットを配布するなどの対応を取りました」という回答が寄せられている。
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■エゾリスが近寄ってきたら…
かわいらしいエゾリスを見て、つい近寄ったり、触れてみたくるのかもしれない。園内でエゾリスと遭遇した際、どのように接すればいいのだろうか。
こちらの質問に関して、担当者は「距離をおいて観察する分には問題ありませんが、エゾリスのほうから近寄ってくることがあります。その場合は手を振って、それ以上人に近づかないよう優しく教えてあげてください」「スマホ等で撮影してSNSにアップしたくなるかもしれませんが、至近距離での動物の撮影は餌付けをエスカレートさせる可能性があります。できるだけ双眼鏡を使って観察したり、望遠機能を使って撮影するなど、リスと距離をとって観察・撮影することを心がけていただけると、公園管理者としてはありがたいです」と話す。
エゾリスも含め、改めて人間と野生動物が“正しい距離感”で付き合うことが求められているのかもしれない。
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■執筆者プロフィール
斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。
某週刊誌の芸能記者を経て現職に。ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に様々なジャンルを取材する。
チェーン店からローカル店まで様々な飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)