ジェンツーペンギンから鳥インフルが初検出 「他種間での感染にも注意を」と専門家
南極研究科学委員会(SCAR)は、この度ジェンツーペンギンから致死性の高い鳥インフルエンザが初めて検出されたことを発表した。これまでのべ200羽以上が死亡している。。
鳥インフルエンザと聞くと、主に養鶏場などで発生するイメージが強いかもしれない。しかしこのたび、「鶏」以外の感染事例を『AsiaOne』や『INDIA TODAY』などの海外メディアが報じた。
■鳥インフルで200羽以上が死亡
南極で研究活動を行う国際組織・南極研究科学委員会(SCAR)は、ジェンツーペンギンが致死性のある鳥インフルエンザA(H5N1)に初めて感染したことを発表した。
ジェンツーペンギンは、ペンギン目ペンギン科アデリーペンギン属に分類され、驚異的な泳力によって「最も早く泳ぐペンギン」として知られている。水中での最高時速は35キロにも達するという。
1月19日、アルゼンチン沖に浮かぶ英領フォークランド諸島で、約35羽のペンギンの死骸が見つかった。1月30日時点では数羽の成鳥を含む約200羽以上のヒナも死亡しており、事態は悪化しているとみられる。
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■感染爆発する恐れも
ジェンツーペンギンが、フォークランド諸島と南極半島間の長距離を移動することはめったにない。しかしながら、南極大陸とその周辺の島々では、何十万羽ものペンギンたちが生息しているため、もしウイルスに感染すれば急速に伝播してしまう可能性は非常に高い。
カリフォルニア大学デイヴィス校の研究者であるヴァンストリールスさんは、「ジェンツーペンギンが島内で今後もウイルスを保持し続けるのではないか」と推測する。またフォークランド諸島政府は、クラスターの発生に備え、イワトビペンギンや他種の検査も行っている。
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■他種への感染を懸念
フォークランド諸島政府の取り組みに続いて、別のエリアでも調査が始まっている。
同諸島の東南東1,300キロに位置するサウスジョージア島近郊では、キングペンギンに鳥インフルエンザの感染が一時疑われていたが、調査の結果、陰性だった。
このたび、オットセイとアザラシの集団で初めて確認されたこともあり、種を超えて鳥インフルエンザの伝染性が強いことが判明した。世界のオットセイの約95%がサウスジョージア島で生活しているため、このたびの大量死からオットセイは今や危機的状況に追い込まれている。
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(取材・文/Sirabee 編集部・田中サワ)