野生の小鳥の脅威的な記憶力を解明 ひよこ豆大の脳で数万の場所を特定
遺伝子解析で、野鳥「マミジロコガラ」の記憶メカニズムが明らかに。気候変動への適応力も示唆した。
大学の研究チームが、小さな体に比べて驚異的な空間記憶力を持つ野生の小鳥の記憶メカニズムを、遺伝子レベルで解明した。『Earth.com』と『Goodews Network』が報じている。
■小鳥の驚異的な記憶力
アメリカ西部やカナダ西部などに生息する「マミジロコガラ」という小鳥は、小さな体に比べて驚異的な空間記憶力を持っており、数万個ものエサの隠し場所を正確に記憶して、冬を乗り越える。
脳は小さく、ひよこ豆ほどの大きさしかない。しかしこの小さな脳で、木の皮の隙間、枯れ葉の下、松ぼっくりの中など、山々に点在するエサの隠し場所を何万個も記憶している。
冬が来るとその正確な場所を思い出し、厳しい寒さと深い雪に耐えられるのだ。
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■遺伝子レベルでの解明
コロラド大学ボールダー校とネバダ大学リノ校の研究チームが、17日の学術誌『Current Biology』で発表した新しい研究では、マミジロコガラの空間記憶力に関連する約100の遺伝子が特定された。この研究は、動物の空間記憶力の進化を理解する上で役立つと、期待されている。
研究チームは、シエラネバダ山脈に設置した特殊な給餌器を使い、野生のマミジロコガラの空間記憶力を評価した。各マミジロコガラには特定の給餌器しか開かないようにプログラムされており、正しい給餌器を記憶しているかどうかが試された。
さらに、162羽のマミジロコガラの全ゲノムを解読し、空間記憶力に関連する97個の遺伝子を特定。これらの遺伝子のなかで特定の変異を持つ個体は、給餌器テストで間違いが少なかった。多くの変異は、学習と記憶に関わる海馬の神経細胞形成と関連していたという。
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■記憶力と環境適応力
一方で、研究チームは興味深い発見もした。長期記憶力が高い個体は、新しい記憶を作るのが苦手だったのだ。研究チームが新しい給餌器を設置すると、初期テストで成績が良かった個体ほど、新しい給餌器への切り替えに苦労した。
研究に参加した博士課程の学生であるサラ・パデュラさんは「変動の大きい環境下では、長期記憶力の高い個体が不利になる可能性がある」と指摘する。
例えば予期せぬ吹雪で隠し場所が雪に埋もれても、その個体は新しい隠し場所を探すよりも、埋もれた場所を探し続けてしまうというのだ。
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■気候変動への適応
気候変動が進む中で、新しい記憶を素早く形成できる個体のほうが、生存に有利になると考えられる。
研究チームを率いるゲオルギー・セメノフ博士は「これらの鳥には、適応を可能にする遺伝的変異があるようだ。そうした変異がない種は適応できないかもしれない」と述べている。
研究チームは、ボールダー西部の大学の山岳研究施設に同じ型の給餌器を設置した。ロッキー山脈のマミジロコガラとシエラネバダ山脈のものは異なり、過去100万年間独立して進化してきた。研究チームは、両者の空間記憶力がどのように異なるのか調べる予定だ。
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(文/Sirabee 編集部・ジェス タッド)