若者による「ニッポンの通信簿」完成 得意科目は「文化」と「健康」、では唯一赤点を取った不得意科目は?

『スージー鈴木のニッポンの民意』第16回は、若者の意見を踏まえたニッポンという国の通信簿。この国の未来を託すべき若者が思う、ニッポンの得意科目、不得意科目とは何かを鋭く分析するシリアスなレポートです。

2024/05/10 04:30


通信簿・通知表・成績

ずっと思っていました。「政党支持率」とか「内閣支持率」など、日本にいろんなあれこれに関する「各論」についての調査は溢れているけれど、「総論」についての調査が無いと。

つまり日本の「政治」「経済」「教育」……について「細かい話はともかく、全体としてぶっちゃけ、いいの、悪いの?」という。

いわば「政治」「経済」「教育」……などの「科目」についての「通信簿」がないと思っていたのです。それぞれの科目が「たいへんよくできました」と思われているのか、もしくは「よくできました」、いや「がんばりましょう」なのか――。

というわけで、調査してみました。題して「ニッポンの通信簿調査」。「政治」「経済」「教育」「文化」「自由」「平和」「健康」「優しさ」「楽しさ」「暮らしやすさ」という10項目、いや「10科目」と、さらにその総論=「総合評価」について、10点満点で回答してもらいました。

そんな調査の結果を集計して、各年齢層別の平均得点を算出して出来たのが「ニッポンの通信簿」です。

特に知りたかったのは、若者(今回の定義は「10~20代」)による「若者の通信簿」でした。若者(という言い方もジジくさいのですが)は、ニッポンをどう思っているのだろう。彼(女)らが思う得意科目は、一体何なのか? それでは早速、調査結果です。


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■若者が見るニッポンくんの得意科目と不得意科目は?

ニッポンの通信簿

まず、総合評価は6.78点でした。これは後述する全層のそれよりも高くなっています。私の予想よりもそうとう高く、ここだけ見れば――「若者はニッポンにあんがい満足している」。

ですが、問題は、個別の科目になると、この総合評価よりも下がることです。つまり通信簿的にいうと、若者にとってニッポンくんは「全体的に何となく出来る生徒だと思われている」けれど、「具体的に各科目の出来を見ていくと、それほどでもなかった」ということになります。いましたよね、そういう生徒。

次に各科目の結果です。

ニッポンの通信簿

一応順位は付けましたが、3位の「優しさ」から7位の「自由」までが6点台前半で拮抗しています。そして一段落ちて「教育」、さらに一段落ちて「経済」という結果です。

ではここでニッポンくんの1位・2位、つまり「得意科目」は何でしょうか。

ニッポンの通信簿

「文化」がいちばんの得意科目でした。というか、トップなのですから、若者にとっては「ニッポンは文化の国」という感じでしょうか。もしかしたら、今や世界を席巻するアニメのことを思い浮かべて回答されたのかもしれません。

2位「健康」も、世界に名だたる長寿国であること、はたまた最近よくいわれる「人生100年時代」などの印象が影響しているのかも。

では残る最下位=「不得意科目」、唯一3点台の「赤点」となった科目は――。

ニッポンの通信簿

ブービーの「経済」からも遠く離された最下位項目は「政治」でした。赤点で留年決定かも?

ここで考えるのは「若者の低投票率問題」です。低くとどまる投票率に対して、大人は「選挙に行こう」とは言いますが、でも若者は、政治自体を評価していない。

ということは、「選挙に行こう」と言っても、それは例えば「買いたいもののない店に行け(それが決まりなんだから)」「ろくすっぽ教えることも出来ない塾に行け(それが義務だから)」と言っているようなものなのです。それも貴重な休日に。

それでも私は、若者に投票に行ってもらって、現状を変えるための第一歩を踏み出してほしいと思いますが、でもそのためには、単に「選挙に行こう」と連呼するのではなく、もっと具体的に、「どの問題を解決するために、どの候補者に入れればいいのか」をサジェスチョンする必要があるとも思うのです(そういえば昔の選挙報道は、今よりももっと具体的でストレートでしたよ)。


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■全年齢層で見た「ニッポンの通信簿」は?

最後に、ミドル・シニアも加えた全年齢層での「ニッポンの通信簿」です。

ニッポンの通信簿

全年齢層では、まず総合評価が6.44点で若者よりも上がります。そして「平和」が跳ね上がって首位に躍り出ます。戦争の記憶が相対的に残存している結果でしょうか。全年齢層的にいえば――「ニッポンはまだまだ平和の国」。

逆に「政治」と「経済」は、若者よりも得点が下がって、最下位の「政治」にいたっては、まるで円周率のような値になります。「政治」は両方とも赤点といえるでしょう。いわばニッポンの根幹である「政治」「経済」を、不得意科目にしてきた大人のツケが若者に回ってきているという構造に見受けられます。

昔、学校で言われたものです。「不得意科目を得意科目にするように。そして得意科目はもっと得意科目にするように」と。未来の「ニッポンの通信簿」が得意科目ばかり、全部7点以上になっていればいいなと思うのです。

そのためには「がんばりましょう」になっている「政治」と「経済」を何とかせねば。そして全科目「たいへんよくできました」な未来のニッポンへ――。数年後、また調査してみたいものです。


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■執筆者プロフィール

スージー鈴木

Sirabeeでは、音楽評論家、ラジオDJのスージー鈴木(すーじーすずき)さんの連載コラム【スージー鈴木のニッポンの民意】を公開しています。

毎回マーケットリサーチを実施し、そこから浮き彫りになる「ニッポンの民意」を世に問いていく連載です。今回は「令和の若者(10~20代)に訊く! ニッポンの通信簿」に関する調査を掲載しました。

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(取材・文/スージー鈴木

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2024年4月16日〜2024年4月20日
対象:全国10代~60代男女752名(有効回答数)

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