『ストリートファイター』最新作、その認知度に目を疑う… 全世代の過半数が「スト6」と回答
格闘ゲームの歴史的名作『スト2』の家庭用リリースから今年で33年が経過。約7割の人が「スト6が最新作」と認識していることが判明した。
■「60代の認知度」に衝撃走る
『スト2』直撃世代である40代の正答率が最も高く、10〜20代、30代、50代も6割以上が「スト6」を認識している。
また「格ゲー=男性向けコンテンツ」という認識の人も少なくないと思うが、なんと本調査では全年代の女性の、半数以上が「スト6」と回答していたのだ。
そして個人的に最も注目したいのは、60代の57.4%が「スト6」を認識している点である。これはもう「スト2に匹敵する」と言った枕詞を用いずとも、「老若男女に通用する知名度」と言って良いだろう。
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■『スト6』ってどんなゲーム?
続いては、今回の調査結果に関し、『スト6』プレイ動画配信で注目を集める人気無職・ストーム久保氏に話を聞いてみることに。
『スト6』の魅力について尋ねたところ、久保氏からは「『スト6』は、過去のナンバリングタイトルの良いところを掛け合わせた、キメラのようなゲームだと言えます」とのコメントが。
久保氏はまず、「相手の攻撃を受け止めて反撃に転ずる『ドライブパリィ』は、『ストリートファイターIII』(以下、スト3)独自のシステムである『ブロッキング』がモチーフでしょう」「ブロッキングは、格闘ゲーム動画で世界一有名だと言われている『背水の逆転劇』でも活用されていて、視聴者も分かりやすく盛り上がれるポイントになります」と例を挙げる。
「ブロッキング」は非常に尖った性能をしているため、以降の作品では同システムに調整を加えたシステムが生まれていったのだ。
続けて、「『スト6』では発動させれば派手な色と音とともに試合に変化を起こす『ドライブインパクト』システムがあり、派手な演出と荒れた性能のキャラクターが戦う『ストリートファイターⅣ』(以下、スト4)のように、プレイヤーと視聴者の心を掴んでいます」とコメント。
『スト4』ではエル・フォルテという話題性に事欠かないキャラが初登場し、世界中の格ゲーマーに今なお愛されている(?)。
『スト6』の新情報が発表される時期には都度、ネット上で「フォルテ来てほしい」という期待の声と、「流石に無理だろ…」という諦めの声、そして「お前は来るな」という怨嗟の声が渦巻き、世にも美しいコーラスを見せるのが恒例行事なのだ。
久保氏はさらに「前作『ストリートファイターV』(以下、スト5)からは、バトルバランスが受け継がれています。派手な演出や見やすさと比べて地味な要素に思えますが、プレイヤーからすると最もありがたい要素です」とも分析していた。
実際、『スト5』をプレイしていた人の多くは、あまり違和感やストレスを覚えず『スト6』へ移行できたのではないだろうか。
つまり『スト3』の「ブロッキングのような分かりやすい盛り上がりポイント」と、『スト4』の「派手な演出や何かを期待させるハチャメチャな要素」、そして『スト5』の納得できる高度なゲーム性が融合したのが、『スト6』であるという。
久保氏は「これらを掛け合わせ、プレイヤーと視聴者だけでなく、格ゲー未経験者を含む全ての層に届けるために生まれたのが『スト6』なのではないかと私は考えています。あらゆる視点を考慮して、100点満点中300点のゲームです!」と、「ストリートファイター愛」を感じさせるコメントを寄せてくれた。
そんな久保氏からすると、今回の調査はやや意外な結果に映ったそうで、久保氏は「正直に言うと、最近の『スト6』を前面に出した念入りなマーケティングを見ていると、『スト6』が最新タイトルのナンバリングと答える人が100%だと思っていました」と断言。
やはり動画配信者の立場から見ても、『スト6』の盛り上がりぶりは相当なものなのだろう。
『スト4』と『スト5』の回答が一定数存在した件については、「ひょっとすると『ストリートファイター』という作品にゲームセンターのイメージが強く、たまたま寄ったゲーセンで稼働する『スト4』や『スト5』を見て、最新タイトルと記憶していた人もいるのかもしれませんね」と、分析していた。
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■カプコン、やはりノリノリである
現役プレイヤーからの熱いコメントが得られたが、『ストリートファイター』シリーズを展開する「株式会社カプコン」は、今回の調査結果をどう感じるのかも気になるところ。
そこで続いては、「ふざけたアンケートをとる暇があったら『スト6』をやれ」と怒られるのを覚悟でカプコンに取材を打診したところ、まさかの大ウケ。『スト6』プロデューサー・松本脩平氏その人が、ノリノリで取材に応じてくれたのだ。
調査結果を受け、松本氏からは「よく、最新ナンバリングを『スト2の新しいやつ』と言われるケースが多かったのですが、明確に『スト6』が最新タイトルとして、圧倒的に認知されているのが嬉しいです!」とのコメントが。
やはり同社としても『スト2』は記念碑的な作品であるとともに、「越えなければならない大きな壁」として感じる部分はあるのだろう。
松本氏は続けて、「これも多くの方々に遊んで頂けている証拠なので、感謝の気持ちでいっぱいです」と、感動した様子のコメントを寄せてくれた。
数年後、いや数ヶ月後に同様の調査を実施したら、久保氏の予想していたような「スト6回答が100%」という結果が見られるかもしれない?
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力と機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ 取材協力/カプコン、ストーム久保)
対象:全国10代~60代男女752名 (有効回答数)