街中で発見した謎のカフェ、名前2文字に目を疑う 「図書館じゃダメ?」と疑問の声も…
お金を払って利用する「勉強カフェ」に「図書館でやれば?」と疑問の声が。創業者は「勉強ができる環境は限られている」と分析する。
■カフェで「勉強できない」理由に納得…
最近これ大阪でもよく見るけど何⁈勉強なんてタダなんだから図書館でやりゃいいじゃん。成り立つの?それともレンタルルーム的な違う用途で利用できるとかあるんですかね⁈
詳しい人教えて! pic.twitter.com/IXk6DI9S1h
— moja🧚♀️令和のmoja (@moja99758134) June 26, 2024
今回の取材を快諾し、応じてくれたのは「勉強カフェ」創業者の山村宙史(やまむらひろし)さん。
開業のきっかけをめぐり、山村さんは「昔、ファミレス(サイゼリヤ)の店長から金融業界に転職した際に、転職先の会社からある資格を取得するように言われ、3カ月の試用期間中に資格を取る必要に迫られたのが発端です」と振り返る。
しかし家で勉強するにも寝てしまい、図書館は夜遅くまで開いていない。そこでカフェや喫茶店で勉強しようとするも…元々ファミレスの店長だった山村さんは自身、混雑時に長居する客の対応に苦慮していた経験があり、憚(はばか)られてしまう。
自宅も駄目、図書館も駄目、カフェも駄目という三重苦を味わい、そこで初めて「学生の時は学校や図書室で勉強できたけど、社会人になっていざ勉強しようとしても、勉強しやすい場所は意外と無い…!?」という疑問にぶち当たったのだ。
調べてみると「有料自習室」なる施設を発見したが、当時の自習室は閉塞感が強くて空気の張り詰めている場所も多かったため、山村さんは「自分の理想の場所とはやや違いました」とも振り返っている。
そこで「こういう場所があれば、自分なら行くのにな」「無いのなら、作れば良いのでは!」と発想を転換し、自身で作り上げた空間こそが「勉強カフェ」なのだ。
関連記事:小倉優子、共通テスト前にSNSもシャットダウン 高校時代の「後悔」を原動力に…
■勉強カフェの「内部」について聞いた
名前に「カフェ」とついているが、勉強カフェは飲食店ではなく、「カフェのような雰囲気」で勉強ができる空間。
その特徴や利用方法について、山村さんは「当施設は会員制となっており、スポーツジムのように月額利用料を払うことで契約したプランの時間を利用できます。また会員にならず、1時間単位でのビジター利用も可能です(混雑時、ビジター利用の制限をする場合もあり)」と説明する。
また、施設内は大きく分けて2つのスペースに分かれているという。
まず「ラウンジ」は、カフェのようにオープンな空間。勉強場所でありながら、あえて音楽を流しているのがポイントだ。
こちらの点について、山村さんは「自習室や図書館では無音が一般的ですが、あえて適度なノイズを発生させることで、些細な物音なども許されないような重く殺伐とした空気感になるのを防ぎ、リラックスしながら集中できるようになっています」と説明する。
また「店内設置のドリンクコーナーでコーヒーやお茶を飲めるほか、軽食の持ち込みも可能となっています」とも補足しており、自習室や図書館との差別化が見受けられた。
もう片方のワークスペースはブース席が並ぶスペースで、環境音が静かに流れ(一部店舗は異なる)、やはり勉強に集中できる空間。会話や食事はNGだが電卓、PC類の持ち込みは可能となっている。
関連記事:山下智久、英語の学習意欲に反響 「尊敬します」「進化し続ける男」
■自宅や図書館に「潜んだ罠」とは…
さて、同施設に違和感を覚えた人にとって最大の疑問となるのが「お金を払ってまで勉強場所を確保する必要があるのか?」という点だろう。
こちらの疑問に、山村さんは前出の体験談を挙げて「社会人という立場でいざ勉強しようとしたときに、それができる環境は限られているように思います」と答える。
また、その他のスペースでの勉強については「自宅ですと、家族がいる方からは『自分の部屋がない』「子どもの相手をしなくてはならない』といったご意見をよく聞きます。世帯の有無にかかわらず、自宅は生活空間なので『寝てしまう』『遊んでしまう』といった声も多いです」と指摘。
さらに「図書館は混雑していることが多く、場所によっては席の取り合いが発生しています。またXでも言及が多かったですが、公共の空間なだけに(言葉にしづらいですが)時間潰しや、涼しむためにたむろしている方々や、他の利用者にクレームを付けてくる方々(主に中年)などの存在があり、勉強に集中できない人が多いようです」と苦言を呈していた。
そうした背景を踏まえ、「人間がひとりで勉強するというのは、簡単なことではないのだと思います。ましてやそれを続けるとなると、一筋縄ではいかないです。私もジムに通っては辞めての繰り返しで、それだけ続けるというのは難しいことだと思います」と、勉強カフェの重要性を力説してくれたのだ。
勉強カフェは有料なので、必然的に「お金を払ってでも勉強したい」という人々が集まる。そうした同じ意識を持った人々同士の空間だからこそ、勉強に身が入るというものだろう。
山村さんは「このように、有料で場所を確保することでこそ、結果的に目標の達成により早く近づくものと考えています」とも分析していた。
今回の取材に際し、山村さんからは「勉強カフェは30代を中心に、高校生からシニアの方まで幅広くご利用頂いております。会員の皆さんに共通しているのは、何か目指すものがあってそのために勉強していること。なので店内は、いつも皆さんのやる気に満ちています!」と、力強いコメントが得られている。
また「もちろん毎日来ても、何時間勉強していても、誰にも咎められません。会員制と聞くとハードルが高いと思われるかもしれませんが、初回お試し利用ができますので、勉強道具をご持参し、ぜひお越しください!」とも呼びかけていたのだ。
1号店は2008年11月に1号店がオープン(現在は閉店済み)し、現在は東京を中心に北は札幌、南は那覇まで全国33店舗の勉強カフェがあるという。勉強が長続きしない…という悩みを抱えている人は、ぜひ同施設を利用してみてはいかがだろう。
関連記事:ゴミ清掃員が教える「そのまま出されると困るモノ」 勉強になります…
■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力と機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
・合わせて読みたい→山下智久、英語の学習意欲に反響 「尊敬します」「進化し続ける男」
(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)