50年前の電子ジャー、搭載された機能に目を疑う… 7割弱が「知らなかった」と判明
かつての電子ジャーには「機能がひとつしか搭載されていなかった」のをご存知だろうか。実際に搭載された機能を、7割弱の人が勘違いしていると判明した。
米を主食とする我われ日本人にとって、炊飯器は無くてはならない存在。開発された当時、人々がいかに歓喜したかは想像に難くない。
しかし、多くの現代人が「誕生当時の電子ジャーに備わっていた機能」を勘違いしているのをご存知だろうか…?
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■「炊飯機能」と「保温機能」のどちら?
じつは、かつての電子ジャーには「炊飯機能」か「保温機能」の、どちらか片方しか搭載されていなかったのだ。
Sirabee編集部では以前、全国の10~60代の男女718名を対象としたアンケート調査にて、こちらのトピックに関する質問を用意したことが。
その結果、最も多い回答は「炊飯機能」(50.3%)で、次いで「保温機能」(33.4%)、「どちらも」(16.3%)であることが明らかになった。
続いては、そんな電子ジャーの歴史についてタイガー魔法瓶に詳しい話を聞いてみることに…。
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■7割弱が勘違いしていた…
炊飯器が当たり前の存在となっている現代の価値観では信じがたいが、保温ができる「電気ジャー」が誕生する以前は、保温性のある「ガラスジャー」でご飯を保温していたのだ。
しかしガラスジャーにも弱点があり、タイガーの担当者は「朝に炊いたご飯をガラスジャーに移したら、昼は温かく食べられますが、夜には冷たくなってしまいました」と説明する。
そこで「いつでも温かいご飯が食べたい」という人々の強い願いから、前出の電気ジャーが生まれたのだ。電気によって加熱保温するジャーの登場により、当時の人々は念願であった炊きたてのご飯を30時間もの間、味わえるように。
この「炊きたて」という点が重要で、タイガーからは「当社の炊飯器も『いつでも炊きたてのごはんが食べられるように』という思いから、『炊きたて』と名づけられました」とのコメントが得られている。
1968年(昭和43年)当時、携帯用魔法瓶をはじめに、ハンディポット、保温水筒、アイスクリーム容器など、いずれも魔法瓶をもとにした製品を発売していたという同社。
魔法瓶で培った技術や製造方法を活用し、家電用品総合メーカーとして多角化経営を目指している中で、電気ジャーの開発は急務だったという。
ちなみに、じつは40℃前後の環境ではご飯は腐敗しやすく、嫌な匂いも発生しやすい。こうした電気ジャーの問題点を改善できるのが、タイガー独自の保温断熱技術と、ヒーター方式の加熱保温機構だったのだ。
それから数年後、電気ジャー業界に「革命」とも言えるイノベーションが発生することに…。
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■別次元の「新時代」に突入
前出のアンケートでは、7割弱が「最初期の電子ジャーには炊飯機能がついている」と、勘違いしていたことが明らかになった。
炊飯機能が搭載され始めた時期について、タイガーの担当者は「1974年(昭和49年)、ついに当社の『炊飯ジャー第1号』が誕生しました。炊飯ジャーは、従来の電子ジャーの保温機能に電気炊飯器の炊飯機能をプラスした『1台2役』となります」と語る。
そう、かつては「かまど」か「電気釜」に加え、さらに電子ジャーという計2台のアイテムが無いと、ご飯の炊飯・保温ができなかったのだ。
しかし、彗星の如く現れた「炊飯ジャー」によって、たった1台で炊飯と保温が可能に。タイガーの担当者は「台所の場所を取らず、釜を洗ったりご飯をジャーに移したりする家事の負担も減りました。当時の主婦の方に喜ばれたそうです」と、その反響について説明している。
その後、火加減が調節できる「マイコン炊き」が生まれ、1992年(平成4年)には、『IH&インバーター制御方式の炊飯ジャー第1号』が誕生。
ただご飯を保温する、ご飯を炊く、といった時代から「ご飯の旨味を極める」時代へと突入したのだ。
それ以前の炊飯事情について、ターがーの担当者は「それまでのマイコン炊飯ジャーは、釜の底に搭載されたヒーターに内なべが接触し、加熱していました」「しかしこの仕組みは、内なべの底にご飯粒やごみなどがついてしまうと、ヒーターと接触できないことから熱がうまく伝わらず、ご飯が美味しく炊けないという欠点がありました」と、説明する。
しかし、IHは「電磁誘導加熱」によって釜全体が発熱することでこの弱点をクリア。安定して炊けるようになったほか、マイコン炊飯ジャーの2倍もの火力を出せるようになり、かまどの火力により近づくことに成功している。
その後、炊飯ジャーはIHが主流になり、現在ではヒーター式は低価格帯の製品を中心に3割ほどだという。
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■「60代の回答」に思わず驚き…
さて、今回の調査結果で最も興味深いのが「年代別」の回答傾向である。
前出のように、今から50年以上も前に生まれた「最初期の電子ジャー」には保温機能しか搭載されていなかった。しかし、当時を生きていたであろう60代ですら、「保温機能」と回答したのは半数以下だったのだ。
こうした結果をめぐり、タイガーの担当者は「現在では当たり前の炊飯技術ですが、当時は電気で加熱保温するジャーも画期的なものでした」と、振り返る。
続けて「温かい、炊きたての美味しいご飯を食べると、幸せな気持ちになれるかと思います。当社は今後も、長年培ってきた熱コントロール技術を活用し、日々炊飯技術への研鑽を積み、美味しいご飯を多くの方に味わって頂けるように努力してまいります」と、抱負を語ってくれた。
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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(取材・文/Sirabee編集部・秋山 はじめ 取材協力/タイガー魔法瓶)
対象:全国10代~60代男女718名 (有効回答数)