朝ドラ騒然「ヴォリンガーって誰?」モデルは実在の建築家
NHKの朝ドラ「あさが来た」に3月23日、突然姿を現した謎の米国人建築家「ヴォリンガー」。
美和の店で出会ったあさ・新次郎らへ「(明治維新後の欧化政策で)日本の文化は失われた。ワンダーランドは消えてしまった」と発言。来月初めの最終回まで残りわずかとなったストーリー展開に一役買いそうな気配である。
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■「ヴォリンガーって誰?」
流ちょうな日本語とイコン画に描かれた聖人のような風貌もあって、ネット界は騒然。「ヴォリンガーって誰?」という声が飛び交う中、詳しい人はすぐに「ピン」と来たようだ。
アメリカ人建築家ヴォリンガー→ウィリアム・メレル・ヴォーリズ。美しい建築を数多く残してます。写真は建て替えの為、昨年末で閉店した心斎橋大丸。エレベーターホールと入口風除室の天井。#あさが来た pic.twitter.com/7iWALFo8yA
— かげやん (@kageyankageko) March 22, 2016
どうやら「ヴォリンガー」とは、国内でも数々の名建築を今に残した著名な建築家「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ」(1880年~1964年)をモデルにしているようだ。
米国に生まれたヴォーリズは、1905(明治38年)に英語教師として来日。滋賀県で教鞭を取った後、1908(同41)年には京都で建築事務所を開業している。
主に教会やミッションスクールの建築に携わったことで知られるが、個人の住宅や病院、商業施設などでもヴォーリズの設計を採り入れたところは数多い。
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■壮麗!旧大丸心斎橋店も
2015年12月、惜しまれながら閉館した「大丸心斎橋店」本館(大阪市中央区)もヴォーリズの設計。
1933(昭和8)年に完成した地下2階・地上8階建ての壮麗な建物で、内外に施されたアールデコ調・ネオゴシック調の装飾が目を引く存在だった。
太平洋戦争中の空襲では一部を焼失しながらも改装を受け、長らく店舗として使われてきたが、耐震基準のクリアが難しく建て替えに。今年2月から解体が始まっているのは残念だ。
とはいえ近代的なビルが立ち並ぶ大阪のメーンストリート・御堂筋沿いで異彩を放っていた様子がまぶたに浮かぶという人も多いことだろう。
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■山手の「ミッションスクール」は現役
変わってミッションスクールでは、いずれも兵庫県西宮市の山手にキャンパスを構える関西学院や神戸女学院の校舎群がよく知られる。
関西学院は、赤いれんが屋根と白い壁が特徴のスペイン風(=スパニッシュ・ミッション・スタイル)。六甲山系の西端にあたる甲山の緑を背景にした時計台と芝生広場を中心に幾何学的な配置で校舎が並ぶキャンパスは、全体がヴォーリズの設計によるものだ。
程近い神戸女学院も同じく「スパニッシュ・ミッション・スタイル」を採り入れた設計だが、建物全体のトーンが褐色ということもあって、関西学院に比べると重厚なイメージ。2014年には、校舎群12棟が国の重要文化財になった。
なお開放的な関西学院のキャンパスとは異なり、うっそうとした林の奥にたたずむ神戸女学院は外から様子を知ることが難しい。ときどき開かれる一般向けの見学会が貴重な機会だ。
近いところでは3月26日・28日・29日にも開催されるが、すでに満員とのこと。次回の案内を待ちたい。
(文/しらべぇ編集部・前田昌宏)