経年劣化なのに…敷金を超える「修繕費」を請求された割合は?
多くの人が新しい部屋での生活をスタートさせる四月。期待に胸を膨らませていることだろうが、注意すべきことがいくつかある。
たとえば賃貸物件の修繕費。これは退去の際に請求されるクリーニング等の費用のことで、通常入居の際に支払う敷金でまかなうものとされている。
しかし、修繕費支払い義務についてのルールが曖昧になっているだけに、敷金を大幅に超える修繕費を請求されるなどのトラブルが少なくない。
■敷金を超える修繕費を請求されたことがある?
しらべえ編集部の調査によると、敷金を超える修繕費を請求されたことがある人は全世代で約1割程度であることが判明。
年代別にみると、20代男性が16.7%ともっとも多く「請求されたことがある」と回答。さらに男性と女性を比較してみると、男性のほうが敷金を超える修繕費を請求されていることがわかった。
理由については不明だが、男性は女性よりも部屋を汚している可能性が高いこと、喫煙者が多いことが考えられる。
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■実際にどのように請求された?
実際に敷金を超える修繕費を請求された人にどのように請求されたのかを聞いてみた。
「賃貸マンションでなにも考えずに部屋でタバコを吸っていました。転居を考えるようになってはじめて『まずいことをしている』ということに気がつきましたが、あとの祭り。
部屋全体の壁紙の張り替え、焼き焦がしのカーペットの張り替えることになり、敷金をはるかに超える金額を請求されました。自分の責任なので仕方ないです…」(20代男性)
「7年住んだ3LDKのアパートを退去したのですが、壁の張り替えや照明の取り替えなど経年劣化と思われるものまで修繕費として請求されました。
どうしても納得いかなかったので個人でやっている大家に文句を言いましたが、とりあってもらえず。弁護士に相談したところ『これはおかしい』ということになり、少額訴訟に踏み切ることになりました」(30代女性)
「敷金礼金ゼロだから安くていいなと思って物件に入居したのですが、退去の際にビックリ。部屋のクリーニング代はもちろん、修繕費と称してあれやこれやと請求されました。
そんなに汚してはいないのですが…。とにかく面倒なことになるのも嫌だったので支払いましたけど、納得はしていません」(30代男性)
敷金を超える修繕費が発生するか否かの判断は、修繕対象となるに至った理由が経年劣化であるか、居住者の故意過失であるかとなる。
本来、経年劣化の場合修繕費を支払う必要はないが、大家や管理会社が「知らないだろう」とばかりに請求してくるとこもあるよう。
修繕費請求書に納得できない場合、少額訴訟をすれば敷金が返還されることがある。現在納得がいかず悶々としている人は、泣き寝入りせず国民生活センターや弁護士に相談してみてはいかがだろうか。
(取材・文/しらべぇ編集部・佐藤 俊治)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年3月20日~2016年3月24日
対象:全国20代~60代の男女1338名