再放送が待ち遠しい NHK『ドキュメント72』傑作回4選
暗いのになぜか生きる気力が沸くというこの番組、ぜひ見てはいかがだろうか?
NHKで毎週金曜日に放送中のドキュメンタリー番組『ドキュメント72時間』。
同じ場所を3日間取材、そこに集う人たちに声をかけ続けるというシンプルな構成ながらも、多様な人間模様や哀愁漂う雰囲気が徐々に人気を獲得。
今や熱心なファンも多く、番組で取り上げられた場所にファンが「巡礼」することも珍しくない。
一体、30分足らずの番組にどんな魅力があるのか。しらべぇ取材班は自分を「マニア」だと語るMさん(30代・男性)に過去の傑作回について聞いた。
①「アニキになぜか感情移入」 鶯谷・大衆食堂
「東京で一番のラブホ街、鶯谷にある小さな24時間営業の大衆食堂が舞台。番組の中でも屈指の『キャラの濃さ』を誇る回で、風俗嬢(と思わしき)30代の女性、酔って寝てしまい味噌ラーメンの中に頭を突っ込むダンディなおじさんなどが出てきます。
その中でももっとも視聴者に響いたのが、取材中に彼女にフラれる40代の工事現場作業員の男性(通称アニキ)。朝まで飲んで仕事に行って…を繰り返してるんだから世間的には立派な人じゃないのかもしれない。でも、必死に生きているんです。
テレビでは綺麗な人、物事しか見ないことが多いけど、現実の我々はアニキに近いのではないでしょうか。不器用な人ほど、彼の語る『真面目に人と向き合うから』という言葉が、胸に染みるはず」
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②だし割りが温めるのは観る人の心 赤羽・おでん屋
「呑兵衛の街、赤羽にある立ち食いおでん屋。寒い冬空の下、体だけじゃなく心を温めるために、人々がやって来ます。そんなどこか安らげる雰囲気が、ここにはある。
この回でもっとも印象深いのは、ミュージシャン志望のアラサー男子。スタッフの前で自作の歌をアカペラで披露するのですが、正直見ていて辛い。
別に彼だけじゃなんです。この番組には俳優志望、声優志望など、夢追う若者がたくさん出てきます。アニメキャラの声真似をする、田舎から出てきたばかりの女の子みたいなね。きっと、まだ世間の厳しさも知らないんだろうなあと視聴者は思うわけです。
でも、決して馬鹿にした編集はしない。ただ淡々と彼らのリアルを写すんです。かつて夢を持っていた視聴者は、気恥ずかしくも、なぜか胸が熱くなる」