迷惑をかけるのはダメなこと?「道徳」で他人を殴る人の特徴
日本人は、人の失敗に対して不寛容だというのは、しばし指摘されることである。
先日、不倫スキャンダルで芸能活動を休止した矢口真里が、CMに出演したところ視聴者からクレームが殺到。CMの放送が中止になる事態となった。
夫がある身ながら不倫をしたという非道徳性と、関係者に迷惑をかけたという意味で、世論はまだ彼女を許していないのだろうか。
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■人に迷惑をかけてはいけない?
しらべぇ編集部は、この「他者への迷惑」という観点で深堀りしてみた。全国の男女1352名に調査を行なったところ、「他人に迷惑をかけてはいけないと思う」と答えたのは全体の74.2%。
年代別では大きな差が見られた。20代がおよそ6割のに対し、年代が上になるにつれ数値が上昇、50代以降の人は8割をこえている。
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■道徳意識の強い人の特徴とは…
該当者の具体的な性質を見てみると…。
その結果、「他者へ迷惑をかけること」に対して批判的な目を持っている人には、「親がまだ生きている」、「コンプレックスが多い」、「人の好き嫌いがはっきりしている」という傾向が顕著であることがわかった。
親が生きているうちは、悪さはできないという自分自身への戒めが見える結果だが、残りふたつは自分の性質や自己肯定感に関係するもの。一見、「他者へ迷惑をかけること」とは関係なさそうにも思えるが…。
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■専門家が指摘「道徳という金棒を振り回す人も少なくない」
この点について、しらべぇ編集部は都内のカウンセリング施設で働く男性(30歳)に話を聞いてみた。
「普段は道徳という言葉でひとくくりされていますが、意外にも幅が広いものなんです。たとえば、人を殺したり、強姦したりなど、共同体を破壊する行ないはどの地域でも許されるものではありません。
一方、ある文化圏においてのみ、その効力を発揮するものも多い。日本では儒教の影響を大きく受けていますが、他国ではそうじゃないですよね。
ただ、これらは比較的大きな単位で見た時の話。個人単位でもその線引きは変わってきます。その人の、内的な要素に多分に影響されて。
ここからはあくまで私の意見ですが、一般に、自分に自信のない人は他者に対して厳しく当たりがちです。自己肯定感が低く、自分の地位を無意識で低いと思っているので、他者を攻撃することで引きずりおろすんです。
その時に、用いられるものはなにか? 時に道徳が彼らの武器になります。『そんなことをするなんて間違っている!』『人さまに迷惑をかけたんだ! もう出てくるな!』など言って、徹底的に叩き潰すんです。
人間は失敗を避けることができない生き物であり、むしろ失敗こそが成長の礎ですが、彼らはそれを許さない。私は炎上騒動の少ないない数は、ルールやあるべき論を振りかざした、弱者のルサンチマンだと感じます。
矢口さんもそうですが、ひとりの人間を多くの人が『不倫は悪だ!』と言って叩き潰す光景が果たして道徳的なのか、考えてみてほしいとすら思いますね」
なにが道徳でなにがそうではないのか、根本的なところからもう一度考え直すタイミングにきているのかもしれない。
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(取材・文/しらべぇ編集部・クレソン佐藤)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年3月18日~2016年3月22日
対象:全国20代~60代の男女1352名(有効回答数)