スティーヴィー・ワンダー知らん!は若者より60代!? 米でも「ポール誰?」騒動
2014年10月頃、「今の若者はスティーヴィー・ワンダーを知らない」というニュースがネット上で話題になりました。
きっかけは、長年に渡ってキリンビバレッジのコーヒー飲料「FIRE」のCMで使用されているスティーヴィー・ワンダーの楽曲『To Feel The Fire』(1999年)を、若い世代に人気のバンド「ONE OK ROCK 」(ワンオク)がカバーしたことにあります。
ワンオクによるカバーバージョンに親しみのあった一部の人たちが、CMでスティーヴィーによる同曲を聴き、「知らない外国人がワンオクの曲をカバーしてる」という反応をツイッターなどに投稿したのです。日本にもファンの多いスティーヴィー。挙げればキリがないほどの名曲を持つビッグアーティストということで、一部ワンオクファンのこういった反応に多くの人が驚き、ニュースにまでなったというわけです。
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■実際の認知度は?
そこで今回、しらべぇ編集部では、20代から60代の男女計1500名を対象に、「スティーヴィー・ワンダーの曲を1曲も知らない」という項目にあてはまるか否かをアンケート調査しました。男女年代別の「あてはまる」と回答した割合を紹介しましょう。(※各属性の回答者は150名です)
【男性】
20代男性:42.0%
30代男性:30.0%
40代男性:20.0%
50代男性:16.0%
60代男性:35.3%
【女性】
20代女性:34.0%
30代女性:26.0%
40代女性:11.3.%
50代女性:17.3%
60代女性:34.7%
興味深い結果となりました。まず、男女で比べると、女性のほうがよりスティーヴィー・ワンダーの曲を知っている人が多い。そして、確かに若い世代で数字は高くなっているものの、男性で2番目、女性で最も認知度が低いのは、60代だったのです。
60年代からモータウンレーベルでスターだったスティーヴィーですが、“黄金期”と言われる活躍を見せたのは、1972年から1976年頃。『トーキング・ブック』、『インナーヴィジョンズ』、『キー・オブ・ライフ』といった音楽史に残る名盤を次々と発表したこの時期に10代の多感な時期を過ごしていた50代、そしてCD化の恩恵を受けた40代が、スティーヴィー・ワンダーの“コア世代”だと言えそうです。
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■知らないのは、本国アメリカも一緒?
2015年1月、冒頭で紹介した“スティーヴィー・ワンダー騒動”と同じようなことが、アメリカで起きました。その対象はなんと、あの元ザ・ビートルズのポール・マッカートニーです。
2014年12月31日、アメリカのヒップホップ界を代表するアーティスト、カニエ・ウェストが、ポール・マッカートニーによるキーボード演奏をフィーチャリングした新曲『オンリー・ワン』をリリースしました。
同曲を聴いたカニエのファンたちが、ツイッターで以下のようなことをつぶやいたのです。
「ポール・マッカートニーって誰だ?」
「カニエには、無名アーティストを発掘する才能がある。だから好きなんだよ」
「このポール・マッカートニーは、ビッグアーティストになるよ」
「カニエは、ポール・マッカートニーとかいうアーティストにこの曲で良いキャリアを与えたね」
who tf is paul mccartney???!??! this is why i love kanye for shining light on unknown artists
— :/ (@CurvedDaily) 2015, 1月 2
Kanye has a great ear for talent. This Paul McCartney guy gonna be huge. — Desus Nice (@desusnice) 2015, 1月 1
若者たちによると思われるこれら「ポール知らない」ツイートは、日本での“スティーヴィー・ワンダー騒動”と同じく、多くのアメリカ人に衝撃を与えることとなりました。
スティーヴィー・ワンダーの件がニュースになった際、「日本人の若者の洋楽離れ」という捉えられ方が多く見られました。しかし、そんな“洋楽”の本場であるアメリカでも、イギリス出身の世界的スーパースターを知らない人はやはりいるのです。楽曲どころか、その名前さえ知らない人たちが…。
要は単純に、時代が移り変わっているということなのかもしれません。
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2014年12月12日(金)~2014年12月15日(月)
対象:全国20代~60代 男女計1500名
(文/しらべぇ編集部)