日本コロッケ協会が地方活性を実現!愛好家の「協会」は社会問題を解決する?
地方の過疎化、地方活性といったキーワードがここ数年広く語られているが、自らその解決や実現に向けて行動を起こすという人はあまりいない。「一般人がどうこうできる問題ではない」と思ってしまう気持ちを否定できないだろう。
今回は、一般人が地方活性に尽力した興味深い例を紹介しよう。
●コロッケが【地方を救う】
コロッケで町おこしをしていた茨城県龍ケ崎市は、市制施行60周年を記念して “コロッケの大会”を開きたいと考えたが、地元にノウハウがなく頭を抱えていた。そこで彼らが相談を持ちかけたのが、コロッケの全国団体である「日本コロッケ協会」だ。
協会からは、単なる市のお祭りではなく“コロッケの全国大会”として開催することを提案。第1回は龍ケ崎市、第2回は静岡県三島市、第3回は富山県高岡市で開催することをあらかじめ決めて全国を回ることで、スタート時点から名実ともに本気のコロッケ全国大会にしようと打ち立てた。
市・商工会・マスコミ・学識者・協会で実行委員会を立ち上げ、各々の力を発揮し協力しながら、「第1回 全国コロッケフェスティバルin龍ケ崎」を開催。全国のご当地コロッケが龍ケ崎に一挙に集い、一般の来場者投票でご当地コロッケNo.1を決めるというこの大会は、来場者数5万人を記録し、1日で1万個売れたご当地コロッケもあったという。
2014年には「第2回全国コロッケフェスティバルin三島市」も開催され、第1回をしのぐ出店数を記録。三島市に活気をもたらした。日本コロッケ協会が、地方の活性化に一役買ったのだ。
そんな日本コロッケ協会の立ち上げメンバーのひとり、竹内さんに話を伺った。
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●「日本コロッケ協会」立ち上げのきっかけは【おやつ】
竹内さん:「日本コロッケ協会」の立ち上げは、とても個人的なものです。
あるとき、5人ぐらいの集まりで「おやつがてらコロッケが食べたいね」という話になり、3人が外に買いに出たのですが、コロッケを買ってこれたのはたった1人だったんです。しかもその1人は、そば屋でコロッケそばの「コロッケだけください」と言ってコロッケを買ってきました。
コンビニにも、それ以外のお店にもコロッケが売っていなくて、集まったみんなで愕然としましたね。このままでは「コロッケが絶滅してしまう」という話になり「俺たちでもっとコロッケを盛り上げようぜ!」と奮い立ちました。
今思うと、完全にその場のノリで日本コロッケ協会は生まれました。
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●おいしいコロッケは【自分の胸】に聞け
竹内さん:コロッケは市域や家庭によって味つけに差があり、人によって好みに差が出ます。一言で言えば、「その人の思い出のコロッケ=いちばん好きなコロッケ」という感じでしょうか。
コロッケ協会のサイトでは、世の中にある色々なコロッケを「コロッケの色」「具の大きさ」「香り」「舌触り」の4つの指標に基づいて分類し、紹介しています。こうすることで自分の好きなコロッケのタイプを知り、似た指標のものを食べて好きなコロッケを増やしてもらえると考えました。
この指標をつくるために、何度かコロッケの食べ比べイベントを開催しました。例えば第1回の食べ比べイベントでは、全80種類1000個のコロッケを買ってきて、それを日本コロッケ協会メンバーの30人で黙々と食べて分類を行いました。こんな食べ比べイベントを何度か実施しているうちに、龍ケ崎市さんが我々の存在を知って相談を持ちかけてくださったんです。
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●あなたの「好き」が、日本を救う?!
竹内さんは、日本コロッケ協会の他にも、「日本ナルシスト協会」など複数の協会を立ち上げ少子化や地方の過疎化といった社会問題解決に一役買おうとしている。いち愛好家が作った協会が、日本を元気にすべく動いているのだ。
一人ひとりの「愛するもの」が、日本の未来を変えていく。社会問題解決のヒントは、あなたの嗜好の中にあるのかもしれない。
※画像はサイトのスクリーンショットです
(文/しらべぇ編集部・河津まるこ)