カンブリア宮殿にも出た『九州パンケーキ』を大手メーカーが模倣?
ベンチャー企業が切り拓いた市場に、後から大手が莫大な資金力をもって乗り込んでくることは、ままある。
ただし、後追いのやり方によっては、先行した会社やそのファン、生活者とのトラブルに発展するケースも。
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■寿司屋の2代目がつくった『九州パンケーキ』
『九州パンケーキ』は、小麦や玄米、雑穀など九州7県の素材だけでつくられたパンケーキミックス。
宮崎県の寿司店2代目である村岡浩司氏が、2012年に開発。地場もん国民大賞の金賞を受賞するなど高い評価を受け、今では全国および台湾など海外でも販売されている。
村岡氏の挑戦は、テレビ東京系『カンブリア宮殿』や多くのテレビ番組でも紹介された。
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■そっくりな商品が大手メーカーから発売
ところが、この『九州パンケーキ』と同じコンセプトで、名前まで似通った商品が、福岡県に本社を構えるリョーユーパンから発売された。
リョーユーパンは、1950年の創業。グループ売上高441億円(2015年)を誇る、九州を代表するパンメーカーだ。
事態を知った村岡氏は、ショックを隠さない。
九州パンケーキの名前を、まさか同じ九州の大手メーカーに模倣されるとはさすがに思わなかったのでショックです涙。。。 pic.twitter.com/VIYCFOpjbs
— 村岡浩司 Koji Muraoka (@ippeichan) 2016年10月13日
なおこの商品は、地上波でテレビCMも放映されている。
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■生活者の判断にゆだねられる
「パンケーキミックス(粉)と菓子パン」「『素材の』という言葉が入っている」など、両製品には違いもある。
ただフェアに後追いをするなら、パッケージの「素材の」という文字を小さくしないなど、九州パンケーキが積み上げたブランドを盗用するような印象を与えないほうが、生活者への誤解は少ないはずだ。
このパッケージデザインはとてもシンプルだけれども、たくさんの思いをこめています。麦の穂の背景にある連なる山々のシルエットは、九州それぞれの県の名峰をモチーフにしています。意匠は簡単に模倣できますが、思いは絶対にマネできない。 pic.twitter.com/ptPi7yaAT9
— 村岡浩司 Koji Muraoka (@ippeichan) 2016年10月14日
村岡氏だけでなく、この挑戦に賛同してきた映像作家やデザイナーなどクリエイターたちからも抗議の声が上がっている。
九州産品の販路拡大のために今後も拡がっていく動きなのか、資本力による模倣ビジネスなのか。その審判は、法的な側面のみならずひとりひとりの生活者が握っていると言えるだろう。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)