バス狙撃事件で使用された「スリングショット」とは?
「スリングショット」という投擲武器がある。先日、このスリングショットによる事件が発生。
東京都八王子市において、ふたりの少年がスリングショットを用いてバスを狙撃したのだ。少年とバスとの間は60メートルほど離れていたというが、厚さ4ミリの強化ガラスは脆くも破られてしまった。怪我人がなかったことは何よりの幸いである。
Y字型のいわゆる「パチンコ」であるが、ガラス窓を貫通するほどの威力を弾丸に持たせることができるのだ。人に向ければ、当然ながら極めて危険なものである。
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■日本でも安保闘争で用いられる
スリングショットは、政治的なデモ行進において必ずと言っていいほど用いられる道具。
日本も例外ではない。今現在はともかく、かつてあった安保闘争では左翼勢力の学生たちが機動隊に向けて弾を発射していた。銃刀法での規制もなく、手頃な価格で買い求めることができるから間に合わせの武器として都合がいいのだ。
海外の大規模デモについて日本のメディアが報道する際、「市民から機動隊に対して投石があった」という表現を使う。ここで言う「投石」とは、もちろんスリングショットを使った攻撃も含まれている。手で投げるよりも遥かに威力が強く、現場の機動隊員はまさに命がけだ。
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■当たれば大怪我間違いなし
日本でも名の知れたスリングショット『ファルコン2』は、Amazonを利用すると3,000円程度という価格である。ではこのクラスのスリングショットは、どれだけの威力を出せるのだろうか?
パワーの計測はその時使用する弾によって大きな差が出るものの、「エアソフトガンの十数倍は楽に上回る」と言われている。
エアソフトガンは「6mmBB弾使用で0.989ジュール以下」という規定があるから、その十数倍とすれば10ジュールを越える。このパワーで撃ち出されたパチンコ玉は、人体に当たれば骨にダメージを与えるほど。
もちろん実験することはできないが、人の顔に向けて発射すれば大怪我は間違いないだろう。
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■「凶悪スリングショット」の発明家
海外には「スリングショットマニア」と呼ばれる人も存在する。
中でも有名なのが、「世界一の投擲武器開発者」ことJoerg Sprave氏。国際的に人気のユーチューバーでもある。
Sprave氏は、あらゆる弾を発射できるスリングショットを多数発明。「あらゆる弾」というのは、球形の金属弾に限らない。矢やナイフ、銃弾などを飛ばすものも。
Sprave氏はもはやベテランの木工職人とも言えるくらいの技術の持ち主だが、さすがにこれと同じことを日本でやったら逮捕されてしまうだろう。しらべぇ編集部では、こうした行為を推奨するために記事を配信しているのではないと明記しておきたい。
スリングショットはこのような破壊的威力を有している代物で、なおかつ規制がないため犯罪に使われてしまう可能性が高い。
クロスボウやレーザーポインターもそうだが、「いかにして犯罪使用を抑止するか」を考えなければならないのだ。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)