自賠責の掛け金、9年ぶり引き下げへ 改めて確認したい補償の対象と金額
今後は、交通事故の現状により即した保険制度を求めたいところだ。
公道を走るクルマなどへの加入が義務付けられている自動車損害賠償責任保険(自賠責)の掛け金が4月、9年ぶりで引き下げになる。
■自賠責とは?
交通事故の被害者を救済する目的で1955(昭和30)年に始まった自賠責制度。公道を走行するほぼ全ての自動車(二輪などを含む)・原付自転車で加入が義務付けられていることから「強制保険」と呼ばれることもある。
自賠責に加入しない車両で公道を走行するのは違法。1年以下の懲役または50万円以下の罰金が定められている。道路交通法の違反点数も6点の加算。運転免許の停止や取消につながる恐れもある。
掛け金は、毎年1月に行われる「自動車損害賠償責任保険審議会」で前年の実績を検討し、見直す決まり。「自動車損害賠償保障法」の第25条には「能率的な経営の下における適正な原価を償う範囲内でできる限り低いものでなければならない」と明記されている。
保険商品を提供する保険会社や協同組合が過剰な利益を上げてはならず、今年の見直しでの引き下げ幅は車種ごとに異なる保険料の平均で10%未満と見られる。
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■9年ぶりの引き下げへ
見直し後の掛け金は、4月1日以降の契約から適用。引き下げになるのは2008年以来9年ぶりで、この間、2011年には11.7%の、2013年には13.5%の、引き上げが行われた。
なお自賠責でカバーできるのは、人身のみ。それも事故の相手側に限られ、自分自身のけがや死亡はおろか物損については、自身にも相手にも保険金の支払いはなく対象外だ。
また相手側に支払われる保険金の上限は、治療費や休業補償などを含めて120万円。死亡事故に至っては1人あたり3000万円が上限で、こと人身に限っても賠償額のカバーは難しいケースが見られる。
カバーできないところは「任意保険」で備えることになるが、加入はドライバーの考えに任せられていて「強制」ではない。自賠責の制度が始まってから60年余り。今後は、交通事故の現状により即した保険制度を求めたいところだ。
(取材・文/Sirabee編集部)