ユニクロよりも人気?『無印良品』が海外で愛されるワケを現地で探った
日本発・海外でも人気の企業といえば、電子機器やゲーム関係、車両関係のイメージがある。しかしながら今、市民の生活に寄り添うある企業が密かに世界展開を広げているのをご存知だろうか。
その企業とは、『無印良品』を運営する良品計画だ。
現在店舗は25ヶ国にあり、欧米にも活躍の場を広げる無印良品。しらべぇ編集部では、実際に海外の店舗の取材・調査を行なった。
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■ロンドン市内に9店舗もある
このたび記者が赴いたのはロンドンの2店舗。ロンドン市内に店舗が9つもあるというのだから驚きだ。
無印良品の店舗と言えば、商品でもあるアロマの香りの印象が強い。ロンドンの店舗に漂う香りはいくらか欧風な気がするものの、店内の内装といい、BGMといい、日本にいるのかと錯覚するほど似通っている。
商品も日本で売っているものをそのまま売っている印象で、日本語のラベルが付いており、日本人としては安心して商品を選ぶことができた。
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■なぜ海外でウケるのか
休日ともなると店の中は混雑している。いったいどうして人気なのか。
まずひとつが、文房具が充実ぶり。もともとロンドン市民には日本製の文具が人気で、一般的な文具店でもパイロットやぺんてる、三菱などの日本製品に多く出会う。
無印はそうした企業のOEM製品(他社製品を製造販売すること)を扱っているため、人気の日本製文具が多数そろっているわけだ。
次に、服のラインナップの豊富さ。とにかく安価なファストファッションがはびこるロンドンにおいて、少し高い価格設定だが縫合のしっかりしたクオリティの高い製品は信頼されるのかもしれない。
加えて取り扱いが多いのが収納用品。日本でも人気が高いこの分野は、外国においてはより興味深い存在だ。
日本では収納用品と言えば100円ショップが人気だが、海外の均一ショップにはそういった商品はない。小分けトレイのような仕切り機能のある製品を手に取る人が多く見られた。
そして、「MUJI YOURSELF」と呼ばれるコーナーは休日になるととてもにぎわう。これは購入した文房具などに備え付けのスタンプを押してカスタマイズできるサービス。スタンプの柄には桜や富士山などがある。
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■日系デパートの代わり!?
そもそも無印良品の海外進出は 1 号店がロンドンで1991年である。ユニクロが同地に初めて進出したのが2001年だったことと比べると、海外キャリアはずっと長い。ユニクロよりも無印のほうが現地になじんでいるという見方もあるほど。
しかし今回店頭を訪れてみて、もうひとつのニーズがあるように感じられたのは、現地の日本人からの需要だ。
たとえばロンドンの場合、かつては街の中心部に三越デパートがあり、日本企業の窓口が置かれたり日本食品などがそろっていて、現地日本人のよりどころと言われていた。
しかし三越が2013年に撤退、現在伊勢丹グループとして再進出の計画があるものの、日本製品を輸出し広める方向性で考えられているため、対現地人向けの店舗となる。
現在その穴を埋めているのが無印良品かもしれない。
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(取材・文/しらべぇ編集部・原田真帆)