SUV車をらくらく牽引 最強のパワフルアシスト自転車が登場
電気アシスト自転車というものがある。これはあくまでも人力の補助を電力が行うもので、モーターが100%の原動力を担っているわけではない。
日本ではヤマハ発動機の『PAS』シリーズが長年に渡り市場の頂点に君臨している。だが実のところ、モーターの定格出力やアシスト比率といった面は性能向上がまったく行われていない。なぜかと言えば、道路交通法が存在するからだ。
我が国日本の法律では、自転車が時速24km以上になるとモーターが停止するようにしなければならない。それを鑑みると、モーターの高出力化の選択肢に踏み切ることはできないのだ。
だが、国が違えば事情も違う。
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■規格外の高トルク自転車
アメリカ・カリフォルニア州サンタモニカのスタートアップが、『MOAR』という電気アシスト自転車を発表した。
このMOARのラインナップは3種類。その中の最上位クラス『Rapt』の走行性能が大きな評判を呼んでいる。
まずはこの製品の性能諸元を簡単に説明しよう。重量は71ポンド(約32kg)、オフロード走破に最適なファットタイヤを採用し、かつ折り畳みが可能である。二輪車のようなヘッドライトがオプションで付いていて、この点だけを見れば日本の消費者にとっても嬉しい仕様である。
だが、本題はそこではない。
MOAR Raptは定格出力750Wのモーターを搭載し、そのトルクは最大160Nm。それがどのくらいのパワーかというと、SUV車を難なく牽引できるほどだ。
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■PASと比較
PR動画を見ても、まるでモトクロスのようにオフロードや階段を駆けている。だが、これはあくまでも電気アシスト自転車だ。動画では西海岸の公道を、悠々と疾走している。
ここで、ヤマハ発動機のPASとMOAR Raptを比較してみよう。PASシリーズのモーター出力は240Wで統一されていて、時速10km未満でのアシスト比は人力1に対しモーター2という設定。そして先述の通り、時速24kmに到達したらモーターアシストがなくなる。
言い換えれば、日本で生活している限りこの程度の性能で十分事足りるということ。だが、西海岸のクリエイターはどうやら我々とは発想が違うらしい。「とにかく性能を上げる」「怪物的なパワーを与える」ことが、彼らの思考の原点であるようだ。
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■日本では「原動機付自転車」
そして当然ながら、MOAR Raptは日本の公道では走行が難しいと判断すべきだろう。
絶対に走らせることができない、というわけではない。先ほどの法定アシスト比率よりも性能が超越した場合、その製品は原動機付自転車に区分される。つまり、公道上ではナンバープレートを取得しなければならないのだ。自賠責保険の加入も義務付けられる。
こうした製品が日本で普及するのは、やはり難しいと言わざるを得ない。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)