インドの「500円で買えるスマホ」が壮大な詐欺商品だった
2016年3月、しらべぇではインド発の500円スマートフォンの話題を配信した。
これは、インドのスタートアップがAndroidスマホをわずか251ルピー、日本円で450円にも満たない価格で発売するというものだった。Android5.1を搭載し、カメラまで内蔵されているスマホがたったの4米ドル。だがこれに対し、世界中のテクノロジーメディアが批判した。
「どう計算しても原価割れだ!」
それに対し販売元のRinging Bells社は「我々の新製品『Freedom251』は、インドの貧困層市民のことを最優先にしている」と応じていた。自分たちのやっていることは、慈善事業に近いものだというスタンスである。
そして2017年、Ringing Bellsの経営者が詐欺容疑で逮捕された。
■出荷を途中で放棄
しかし、Freedom251がいつまでも出荷されないと去年の中頃から言われていた。
当初は初回20万台の出荷を去年6月に予定していたのだが、延期に次ぐ延期の末にごく少量の出荷。もちろんそれは、流通業者からの発注数に満たない出荷数である。
Ringing Bellsはこの失態について、こうコメント。
「我が国の政府が援助をしてくれれば、製品は順調に量産されるはずだ」
驚くべきことに、Freedom251が原価割れと判明した途端に政府に泣きついたのだ。無責任と言わざるを得ない態度である。
しかもその間に、Ringing Bellsは新しい製品を発表していた。Freedom251の出荷問題は、この時点で完全に放棄。世界のテクノロジーメディアは怒り狂った。
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■経営者が逮捕
当然ながら、流通業者も黙ってはいない。
Ringing Bellsの経営者であるモヒット・ゴエル容疑者は、とある業者からの告発を受けてついに逮捕された。罪状は先述の通り、詐欺容疑である。
ゴエル容疑者は、常に「愛国心」を売りにしたPR戦略で知名度を高めていった人物。偉大なるインドの発展のため、全市民にスマホを所有させるのが目標とも語っていた。だが、蓋を開けてみればゴエル容疑者はペテン師まがい、そうでなければ放漫経営者と表現すべき人物だったのだ。
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■テクノロジーと詐欺師の関係
もっとも、Ringing Bellsは「集めた金はすべて顧客に返す」と明言している。これが信用に足る言葉か否かは、また別問題だが。
テクノロジー関連のビジネスニュースは、こうした詐欺同然の事件に突き当たることが多々ある。最先端の技術を謳い、巨額の資金を集めようとする輩が存在することは事実だ。
そのような者の台頭を食い止めるためにも、消費者は常に目を光らせておくべきである。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)