「道徳」が食物アレルギーを引き起こす?仰天ツイートに納得の声
「道徳」は、人間が社会生活を営む上で重要なこと。だが、「こうすべきだ」一辺倒だと、時にそれが新たな問題を生むケースも。
今、多くのRTを集め、注目されているツイートがある。
■「好き嫌いはダメ!」 正論が人を苦しめる?
あるTwitterユーザーが投稿したツイート。 「食べ物を好き嫌いするのはやめよう」「食べ物は残さず食べよう」という道徳は、アレルギーに対する配慮が欠けると、ときに人を死に追いやってしまうという内容のものだ。
以下、添付画像の内容を簡単にまとめると……
・娘はエビアレルギーで食べられないにも関わらず、「好き嫌いはダメ。ちゃんと食べなさい」と先生に無理やり食べさせたせいでぐったりしてしまった
・「アレルギーは医者の方便」と言う元夫の親に蟹鍋やエビフライを食べさせられ、呼吸困難になり救急車を呼んだ
・3歳の息子がトマトアレルギーにも関わらず、「教育が悪い、偏食だ」と言って姑が無理やり食べさせた
などの事例が載せられてある。一見、「道徳と無関係では?」と思う人もいるかもしれないが、たとえば小中学校の道徳の授業の一貫として「食育」は行われていると上記のネットユーザーは指摘。
そして、「食べることは命をいただくこと、残すことはそれを無駄にすること」という論調の中に「アレルギー」という言葉は存在しない場合もあるとも述べ、正論がときに人を命の危機に追いやってしまう危険性を指摘した。
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■5年前の文部科学省関連のHPでも…
実際にネットで「食育 授業」と検索してみると、たとえば2012年に文部科学省が当時放送していたドラマ『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!』(フジテレビ系)とコラボしたページがヒットする。
これは国民に広く食育に対する理解・普及を図るために行われていたプロジェクトで、本ドラマでは食事の大切さや温かい食事のありがたさ学ぶことができるよう。
「給食の取組」「授業での食育」などのページも存在するが、「アレルギー」という文言はサイトのどのページで検索してもヒットしなかった。そして、『PRICELESS』に主演した俳優・木村拓哉はインタビューに対し、以下のように答えている。
「昔は、先生が上で絶対的な存在だったと思います。例えば掃除の時間になっても、『食べ終わるまで食べなさい』と怒られたり、牛乳が飲めない子も先生から言われて泣きながら飲んでいたりしました。それが普通でした。でも今の学校では状況が変わっているそうですね。給食を残していいなんて考えられなかったです」
このようなHPのすべてに「ただし、アレルギーの子は…」と但し書きの記載を求めるのは野暮かもしれないが……あまりに前のめりな姿勢のサイトを見ると、大事なページには書いても問題なさそうにも思えてくる。
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■「例外」にも配慮を!
たしかに、「食育」は健康な心身を育むためには非常に重要だ。しかし、物事には必ず例外があり、それを理解していない教師がいれば問題が起こる可能性もある。
アレルギー対応が昔に比べて格段に進んでいる最近の学校現場はさておき、上記のネットユーザーの論に賛同を示す人が少なからずいたことからすると、昔は体質に合わないものを無理やり食べさせられた人も多かったのだろう。
なお、しらべぇ編集部の調査では、「自分や家族に食物アレルギーがある」としている人は全体の14%存在している。
正論は正しいがゆえに反論しにくいもの。世の中には自分の考えを信じて疑わない人が一定数いるが、そんな人が「正論好き」だった場合に、想定外の事件は起きる。
「食物」は非常に重要だが、そこに一言「でも、アレルギーの人は無理しちゃダメだからね」と言える柔軟さを誰もが持っておくべきだ。
・合わせて読みたい⇒現役内科医が語る 身近に潜む「食物アレルギー」の可能性
(文/しらべぇ編集部・クレソン佐藤) 参照:『食べるが「価値。」』公式サイト)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年2月19日~2016年2月22日
対象:全国20~60代の男女1348名(有効回答数)