東京五輪が契機に? 2400名の性的マイノリティ・LGBTに向けた調査を可能にした狙いとは
自らゲイであることを公表しているLGBT総合研究所・森永社長が「LGBTのアンケート調査パネル」を構築した理由は…
2015年、東京・渋谷区で『同性パートナーシップ条例』が施行されたのを皮切りに、日本でもLGBTなど性的マイノリティの人権に配慮する動きが拡がっている。
同性カップルに公的な証明書を発行する自治体は、その後、世田谷区や宝塚市、伊賀市、那覇市などに拡大。
さらに企業も続き、携帯キャリア各社は『家族割』を同性カップルにも適用し、福利厚生の一環として同性カップルを配偶者として扱う企業も増えつつある。
■性的マイノリティのニーズを調査
しかし、企業や行政がLGBTに向けたアクションを行うためには、そのニーズや課題を深く知ることが求められる。
そこで、LGBT総合研究所と調査会社モニタスは、LGBTを自覚する2,400名をスクリーニングした調査パネルを構築。企業や自治体に提供する。
しらべぇ取材班は、LGBT総研の森永貴彦社長とモニタスの林秀紀社長に、今回の狙いについて話を聞いた。
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■東京五輪に向けて対応を迫られる
森永:日本は、「LGBTへの対応が遅れている」として、国連から2回にわたって勧告を受けています。2020年には東京五輪が開催されますが、最新のオリンピック憲章では「性的指向による差別の禁止」が定められました。
これは、開催国・日本や東京都はもちろん、スポンサー企業にも対応を迫るものです。今、LGBTにまつわる企業や自治体のニュースが目立つのは、こうした背景があります。弊社にも多くの相談や問い合わせが寄せられています。
林:これまで注目されてこなかったLGBTの人たちについて、定量調査やデプスインタビューを求めるニーズは高まっています。
調査の際、毎回新たにスクリーニングして対象者を探すよりも、独自の調査パネルを持っておくことはスピードや費用の効率化につながり、変化を時系列で追うことも可能になります。
すべての人が、性的な指向にかかわらず幸福に生きられる社会のために、まずは「知る」ことが大きな一歩になるかもしれない。
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