ブラジル出身ラッパー・ACE ドラマ『わにとかげぎす』など縦横無尽な活躍に迫る
『フリースタイルダンジョン』などで活躍する人気ラッパーのACE。バラエティ番組やドラマなどへの露出が増えている。
「フリースタイル」と呼ばれる即興ラップが、若い世代に人気だ。繁華街の広場などに集まって行われる「サイファー」というラップイベントも、しばしばメディアに取り上げられる。
そんな中、テレビ朝日系音楽バラエティ『フリースタイルダンジョン』で「隠れモンスター」として挑戦者たちをなぎ倒してきたブラジル出身のラッパー・ACE(27)が、その活動の幅を拡げている。
しらべぇ取材班は、ACE本人に直撃した。
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■ブラジル生まれ、北新宿育ち
ACE:生まれたのは、ブラジルのベロオリゾンテという街です。3歳の頃、父親の仕事の都合で、母親と一緒に日本に来ました。
家は北新宿、遊び場所は大久保とか百人町とか、結構ディープなエリアでしたね。いろんなことが一日で起こってしまう街。
5、6年前に杉並のほうに引っ越したんですけど、たまに新宿のほうに行くと、「昔は、もっと危機感もってこのへん歩いてたわ…杉並で平和ボケしてるのか?」と感じることもあります。新宿には、離れてわかる独特のヒリヒリ感があるかな。
人間的には、確実にこの街の影響を受けてると思うので、結果的には作品にも「新宿で得たもの」が反映されているのかも。
ブラジルには、小学校高学年の時から帰ってないですね。新宿よりさらに怖いんで、あんまり帰りたくない(笑)
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■トークバラエティがラップのヒントに
ACE:来たばっかりの時は、日本語が全然わからなくて。3歳だったけど、それはしっかり覚えてますね。今は、夢もほぼほぼ日本語で見るんですけど、家族とは普段ポルトガル語でしゃべるから、そっちも忘れてない。
言葉が2つあるのって、じつはラップではちょっと困りもので、ちゃんと韻を踏んだつもりなのに観客がきょとんとしてると、「あ! さっきの言葉はポルトガル語だったわ!」って気づいたりとか。
そんなACEが日本語のボキャブラリーを学んだのは、漫画やアニメ。最近ではさらにトークバラエティ番組を見ることがラップに活かされているという。
ACE:ダウンタウンさんや明石家さんまさんのトークをチェックしてます。たとえば、番組で「視聴者からの葉書」を元に、即興でボケて即興で突っ込む、一流芸人のMCはどう展開させて落としどころをつくるのか、など。
ラップは、それを「音楽の上でやる」というルールの違いはありますが、脳みそが行う処理作業としては、とても参考になるんです。
ラップって「連想ゲーム」に似ていて、連想するものの幅をどれだけ持っているかが勝負なんですね。その幅の中で、どの言葉をチョイスしてどこをゴールにするか。「選択のセンス」が問われます。
ラッパーの中でも、言葉のセンスで勝負する人、人間力で魅せる人、気持ちで行くバイブス型など、さまざまなタイプがいますが、どの技も単にラップだけ勉強していても磨かれないと思います。ストーリーが始まり、中身と落ちがあって、落ちにはさらに裏があった…みたいなワクワクさせる構成は、お笑いがすごくヒントになりますね。