入管法改正の強引な国会運営に野党反発 失踪者の時給は500円台が最多と判明
法務省が提出した資料の誤りが認められたが、強引な審議に疑問の声が上がっている。
入管法改正を巡り、国会が揺れている。外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案は野党5党1会派が猛反発する中、21日、衆院法務委員会で実質審議入りした。
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■法務省は誤り認める
法務省は「失踪した外国人技能実習生に対する調査結果に誤りがあった」と認める一方で、「失踪の主な理由はより高い賃金を求めて」という見解は維持した。
問題となっている調査は、失踪後に摘発された2,870人から聴き取った2017年の調査だ。法務省は当初、約87%がより高い賃金を求めて失踪したとしていたが、約67%に訂正。法務委員会で山下貴司法務大臣はこの点を「おわびしたい」と謝罪している。
法務省は、失踪の原因について新たな見解も示した。従来の見解にあった「技能実習を出稼ぎ労働の機会と捉え」という表現を削る一方、「契約賃金以下」「最低賃金以下」の低賃金に「不満を持ち」という文言を追加した。
聞き取り調査で選択肢になかった「より高い賃金を求めて」という表現は削らず、この動機での失踪が「最も多い」と説明した。
立憲民主党の山尾志桜里衆院議員は「(最低賃金の保障という)正当な権利を主張しているのに、なぜ『不満』という表現を使うのか。問題意識が薄い」「(失踪は)実習生側の原因であるかのような書きぶりは、改める必要がある」と述べた。
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■委員長職権で実質審議入りに
野党が提出した葉梨康弘衆院法務委員長(自民)の解任決議案が20日の衆院本会議で否決されたことを受け、本会議散会後に衆院法務委員会の理事懇談会を開催。
21日の同委員会で、外国人労働者受け入れ拡大に向けた出入国管理法(入管法)改正案の実質審議入りと、定例日でない22日の参考人質疑を委員長の職権で決めた。
同委理事懇談会後、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、日本共産党の野党4党の衆院法務委員会の理事は国会内で揃って記者団の取材に応じた。