埼玉・36人感染の集団食中毒 原因となったウェルシュ菌の予防法は?
熱に強い菌「ウェルシュ菌」の正体とは…
食中毒が起きやすい季節になっている。しらべぇ編集部は、つい先日、小学校で育てたじゃがいもによる食中毒を取材したばかりだが、今度は埼玉県春日部市で起きた。この件の原因を探るべく、関係各所から話を聞いた。
■病院の給食を食べて…
埼玉県庁食品安全課によると、12日春日部市の春日部中央病院の職員から「早朝から入院患者32名が下痢の症状がでている。発症者全員が病院の給食を食べているので、食中毒の疑いがある」との通報が入った。
そのため施設を所管する春日部保健所が調査を開始。食中毒にかかったのは36名(男性14名、女性22名)で、いずれも入院患者だが、全員が快方に向かっているという。
そして県は、患者19名及び調理従事者1名の便からウェルシュ菌が検出されたこと、そして患者の共通食が、原因施設で提供された食事に限定されることなどから、ウェルシュ菌が原因による食中毒と断定し、16日から18日まで3日間、病院に対して給食停止命令を出した。
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■熱に強い性質も
ウェルシュ菌は土壌などに広く分布する菌で、人や動物の腸管にも存在する。この菌は熱に強い「芽胞(がほう)」と呼ばれる形態をとり、100℃の加熱でも死滅しない。
カレーやシチュー等を大鍋で大量に作る場合、他の細菌は死滅してもウェルシュ菌の芽胞は生き残る。調理後に適切に冷却せず放置すると、40℃~50℃で急速に増殖して食中毒の原因となるそう。
「給食用のスープ」「前日に調理したカレー」など、大量に作ったり、作り置きした食品は特に注意が必要。感染すると、6~18時間の潜伏期間の後、菌が作る毒素により下痢や腹痛を起こす。一般的に症状は軽く、多くは1~2日で回復する。
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■予防方法は?
食品安全課や東京都健康安全研究センターは、ウェルシュ菌での食中毒予防方法として、以下の方法が挙げられると解説した。
①ウェルシュ菌が増えやすい「40℃~50℃」にしない。
②加熱調理した物であっても、放置せずになるべく早く食べる。
③保存するときはパックに小分けして冷蔵するなど、早く冷やす工夫をする。
また、カレーなど冷蔵したものを翌日食べる場合には、「よくかき混ぜながら再度グツグツ煮立たせることが大事」と話す。「翌日のカレーが一番うまい」という説もあるが、保存・調理には充分に注意が必要だ。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)