『鬼滅の刃』が大人気になった背景とは 物語を畳み始めた理由はなぜなのか
今話題の『鬼滅の刃』とその作者・吾峠呼世晴のこれまでとこれからを分析。
オリコン週間コミックランキングで、史上初めて1位から10位を独占する記録を『週刊少年ジャンプ』が連載する漫画『鬼滅の刃』が打ち立てた。どのような漫画なのだろうか。
■読切作品からすごかった『肋骨さん』
『鬼滅』は、家族が鬼に殺され、妹も鬼にさせられた主人公・竈門炭治郎が、妹を人間に戻すために、鬼退治の旅に出る物語である。妹・禰豆子を始め、様々なキャラクターが若い女性を中心に大人気だ。
『鬼滅』のよさは作者・吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)の独特さにあらわれる。作者の独特さは連載開始前の読切作品に顕著だ。中でも『肋骨さん』という作品が印象的であった。
主人公のアバラは、世界の「邪氣」を見ることができる。アバラは、邪氣をたどり、邪氣がついた異常者の邪氣を振り払う。
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■作者・吾峠呼世晴の世界観
吾峠の独特さは、絵柄とキャラクター、そしてそれによって作り出される世界観にあるのだ。作者はあまり絵が上手いとは言われない。
しかしながら、全てを丁寧に手書きしたような絵、衣服などに見られるこだわりある細かな絵柄。昨今の綺麗なうまい絵より、はるかにインパクトを残す、これぞうまい絵なのだ。
キャラクターも非常に独特。『肋骨』で出てくる女性の敵キャラは、髪は人とともに老いるし、髪を切ったら髪が死んでしまう、なので人間のほうを殺して髪を美しいままにしよう、と話す。台詞回しも独特だ。