熱海土石流で被災した老舗製麺所 クラファン活用の新工場で新たな挑戦を聞いた
昨年の土石流で大きな被害を受けた製麺所が、クラウドファンディングも活用して移転・再建。新工場で話を聞いた。
昨年7月3日、熱海市伊豆山(いずさん)地区を襲った土石流は、災害関連死を含めて27人が尊い命を落とし、1人が今も行方不明のまま。主要な生活道路は復旧したものの、被災者は避難生活を続けている。
そんな中、新しい挑戦も始まっている。取材班は、クラウドファンディングも活用して被災した工場を再建したコマツ屋製麺所を訪れた。
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■自宅兼工場が被災
コマツ屋製麺所は、創業1887年(明治20年)。中島秀人さんで3代目となる老舗の製麺所だ。夜の街としても栄える熱海には人気ラーメン店も多く、熱海銀座の熱海餃子 濱よしや、駅前の雨風(あまから)本舗、わんたんや、石川屋などにも麺を卸していた。
被災前は工場の上が自宅となっており、妻の久乃さん、その母の小松裕子さんの家族に加えて、近所から通う従業員で営業していたという。
土石流が起きた後、社長である秀人さんと当時は家業に関わっていなかった次女の茉子さんは、すぐに取引先のラーメン店まわりに。電話が不通になったため、茉子さんが取引先とLINEグループを使った連絡網を作っていった。
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■娘たちがクラファンに挑戦
被災当日には、結婚して東京に住んでいた長女の横山真唯さんも帰郷し、娘たちが「何かできないか」と考えたのがクラウドファンディングだったという。父・秀人さんは当初よくわからず反対だったそうだが、「少額であれば…」と娘たちのチャレンジに同意。
結果、当初300万円だった目標に対して、900万を超える支援が全国から寄せられる。この1年間は、秀人さんの修行先だった東京の丸山製麺が、それぞれの納品先の配合に合わせた麺を製造。取引先も理解して、再開を待ってくれた。