いよいよカウントダウンが始まる台湾有事 日本企業からは懸念の声も…
8月初めのペロシ米下院議長の台湾訪問で中国が軍事的威嚇を強める。邦人2万人は安全に退避できるのか…。
8月初めにナンシー・ペロシ米下院議長が台湾を訪問したことで、それに釘を刺していた中国は対抗措置として、台湾への軍事的威嚇を強めている。
■カウントダウンが始まる台湾有事
中国は台湾を不可分の領土と位置づけており、台湾独立の気運が高まれば武力行使も辞さない構えである。
それ以降、中国軍の中台中間線越え、台湾離島へのドローン飛来が激増しており、今後再び緊張が高まるようなことがあれば、中国はいっそう強硬な軍事作戦を実行しているだろう。米国も台湾も一歩も引かない構えで、台湾有事のカウントダウンは既に始まっている。
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■高まる日本企業からの懸念
一方、今日、台湾には3,000社以上の日本企業が進出しているとされる。駐在員を多く台湾に派遣している企業も少なくなく、台湾有事を懸念する声が広がっている。
たとえば、企業の中には駐在員だけでなくその家族も帯同されているケースもあり、「今のうちから帯同家族だけでも帰国させるべきか」、「いつ有事となるか」、「有事となった場合、安全を確保できるのか」などを懸念する声があちらこちらから聞こえる。
また、サプライチェーンの問題も深刻で、有事になれば中台の対立が深まるので、中国から材料を調達した後に台湾で製品を製造する企業からは、「そもそも中国から材料は入らなくなるので台湾で製造できない、有事の前に材料の調達先を中国からASEANに変える必要がある」と危機感を抱く企業もある。
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■戦争勃発後の安全な避難は不可能
双方が撃ち合うことになれば、まず日本への安全な退避はできなくなる。ウクライナと違って台湾は海に囲まれており、脱出手段は空か海になる。
しかし、唯一の安全な退避手段である民間航空機は、基本的に戦争勃発とともに止まり、その時点で事実上退避はできなくなる。海といっても戦争になれば、まず中国軍は主要な港、その周辺の海を封鎖するであろうから、海路での退避はできない。
台湾には10万あまりの防空壕があるので、そうなればそこでの滞在を余儀なくされる。今後、日本企業の脱台湾が加速化する可能性がある。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)