北米で「ゾンビゼミ」が大量発生中 体の一部が真菌に置き換わり行動を支配
体が真菌に置き換わったセミは、オスがメスのふりをすることもあるらしく…。
十数年ごとに大量発生する「周期ゼミ」。アメリカの複数の州で今年はその大発生の年にあたり、その中には菌類に体を乗っ取られた「ゾンビゼミ」も混ざっていると、専門家が指摘している。『CBS News』『KVUE』などの海外メディアが報じている。
■長い時間を地中で過ごす
「周期ゼミ」とは、地中で13年または17年かけて生まれてくるセミで、周期の年数が素数であることから「素数ゼミ」とも呼ばれている。
北米では今年2種類のセミが大発生の年にあたり、13年おきに出現する「ブルードXIX」がジョージア州で、17年おきに出現する「ブルードXIII」はイリノイ州で羽化するという。
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■菌に感染した「ゾンビゼミ」
数兆匹規模のセミの大発生は人間社会にも大きな混乱を引き起こすが、今年のセミは例年よりも数が多く、セミたちにもある異変が起きているという。
ウェストバージニア大学の菌類の専門家であるマシュー・カッソンさんは、周期ゼミの幼虫の多くが「マッソスポラ・シカディナ」と呼ばれる真菌病原体に感染していると指摘する。
この真菌に感染したセミは体の一部を菌に乗っ取られ、異常な行動を取るようになることから「ゾンビゼミ」とも呼ばれるそうだ。
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■異常に性的になる?
感染したセミが羽化して成虫になると、10日以内に腹部が裂け、そこから白い菌糸が飛び出して性器が脱落する。
性器のないセミは過剰な性的活動を行うようになり、オスは通常と同じように交尾をしようとしたり、他のオスを誘うためにメスのふりをすることもあるという。
「体の3分の1が菌類に置き換わっているのに、それはとても奇妙なことです」とカッソン氏は述べた。
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■交尾を通じて感染を拡大
真菌に体を支配されたオスのセミは、メスのように羽を動かして他のオスを引き寄せ、さらに感染は拡大していく。
カッソンさんはセミたちの行動について、「この真菌は性行為によって感染する可能性がある、つまり、性感染症のように広がるのです」と語った。
現在、この真菌に感染しているセミは全体の5%未満であり、セミを食べる野生生物への影響は見られないという。
それでもカッソンさんは人々に対し、「真菌に感染したセミを見つけたら、写真を撮って科学コミュニティに共有してほしい」と呼び掛けている。
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(文/Sirabee 編集部・びやじま)