北陸新幹線の大先輩!東海道・山陽新幹線開業日の様子とは…40年前も変わらない?
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北陸新幹線の延伸開業から1週間。開業日から大盛り上りでしたが、新幹線の”大先輩”、東海道新幹線と山陽新幹線の開業日はどうだったのでしょうか? 当日の様子を調べてみました。
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■ラジオは大盛り上がり
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テレビは今ほど中継技術が発達していないこともあり、NHKが朝のニュースで伝えたくらい。一方、大盛り上がりだったのがラジオ中継。NHK、民放各局が早朝から特別編成で放送した。
TBSラジオはABC、CBCとの共同制作で朝5時半から特別番組『走れ超特急』を放送。
第1部では、東京駅や新大阪駅付近の街の様子レポート、記念式典の中継、出発した「ひかり」が小田原にさしかかるまでの様子を中継。
7時50分からの第2部では新幹線がすれ違う豊橋付近から中継。
8時20分からの第3部では名古屋、岐阜羽島付近の様子や中央司令室の様子を中継で伝えた 。
9時25分からの第4部では京都駅での歓迎ぶりや新大阪駅に到着する様子、さらに運転士の記者会見の様子も伝えた。
出演者、スタッフを含めると100人にも及ぶ中継体制だったという。
※文化放送はTBSラジオと同じ取材体制で放送した。ニッポン放送も『発車進行200キロ』をラジオ大阪、東海ラジオとの共同制作で放送。古今亭志ん朝の司会で5時45分から10時15分にわたって放送。NHKラジオも同様に特別番組を放送した。
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■一方、テレビはオリンピック一色
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民放では開業当日のお昼12時45分から日本テレビが『婦人ニュース』(ワイドショーのようなものだったらしい)で「走り出した新幹線」と題した特集を放送。「特集」といっても、番組自体が15分と短い番組だった。
当時はオリンピック関連の番組が非常に多く、例えばTBSテレビでは「決意新たに 日本選手団団結式」と題した特別番組まで組まれたほどである。新幹線だって決意新たに走り出したのだから、もうちょっと新幹線に目を向けてくれてもいいのにと思いたいところだが、なにしろ50年前のことなので…。
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■山陽新幹線岡山駅始発の車内はガラガラ
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その後、1972年には山陽新幹線の新大阪-岡山間が、1975年には岡山-博多間が開業した。新大阪-岡山間が開業した際はTBSテレビが朝の情報番組『モーニングジャンボ』で岡山出身の長門勇を迎えて慶祝列車の様子を中継。
ヘリコプター中継を行うほどの力の入れようだったが、意外なことに岡山発新大阪行きのこだま号はガラガラで、岡山を出発した時点での乗車率は2割。その後、相生、姫路、西明石と進むに連れて乗客は増えていったが、新神戸の時点でも5割だったという。
距離が短いのも理由の1つかもしれないが、これはちょっと意外だ。ちなみに、東京発のひかり号の乗車率は8割を超えていたそうだ。
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■40年前の鉄道ファンの様子は?
今や、鉄道ファンは増加の一途だが、当時の鉄道ファンはどのような様子だったのだろうか。山陽新幹線 新大阪-博多間が開業した当日の様子を記した朝日新聞には、記念式典での鉄道ファンの様子を記した一文がある。
「式典の様子を記録しようとテープレコーダーや8ミリカメラをまわす鉄道ファンの姿も」
「博多駅でも場内アナウンスをテープレコーダーに録音したり、運転士や車掌と記念写真を撮る人も」
いたそうだ。ちなみに、新大阪-博多間が開業した日、東京駅始発の1号車に乗り込んだ高校2年生の男性は、開業前日の夜8時から並び、新大阪-岡山間が開業した時の1番列車の運転士に書いてもらった色紙を持ってきていたそうだ。
筆者も鉄道に乗るのは好きですが、「時代は変わっても鉄道ファンの根本的なところは変わらないのだな~」と思うと、ほっこりした気持ちになりました。
(文/やきそばかおる)