HIV検査は「自分のため」ではなく大切な人のため…エイズ発症前に気づく重要性
可能性がゼロではない人は一度検査を受けてみてはいかがでしょうか。
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先進国で唯一、HIVの感染者が増加傾向にある日本。特に近年では、40代以降の中年世代の感染が増加しているといわれます。
一昔前までは、HIVに感染したら最後、エイズを発症し死に至ると考えられていましたが、医療が発達した現在では、適切な治療を受け続けることでエイズの発症を40年ほど遅らせることができるようになりました。
しかし、そのためにはまず、HIVの感染に気付かなくてはなりません。
最近では各自治体で無料検査などを実施していますが、実際のところHIV検査を受けたことがある人はどのくらいいるのでしょうか? そこで今回、全国の20代~60代の男女1684人を対象に以下のような調査を実施しました。
ちょうど1割ということで、検査経験者はまだまだ少数派といえそうです。では、性・年代別の数字を見てみましょう。
ちなみに、男性の全体平均は10.4%、女性は9.7%ということで、男性のほうが若干経験率が高いということも分かりました。最も若い20代で全体平均に近い数字となっているので、検査への意識は徐々に高まってきているのかもしれません。
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■「大切な彼女ができたから」…検査の理由
今回は、実際に検査を受けたことがある都内在住の男性・Sさん(メーカー勤務・31歳)に話を聞いてみました。
― なぜHIV検査を受けようと思ったのですか?
「20代の頃にちょっとハメを外しすぎてしまって時期があって、それで30歳になってから本当に結婚したい彼女ができたんです。そんなある日、エイズに関するドキュメンタリーを観ていてふと思いました。『おれだって、HIVに感染してる可能性はゼロじゃない』って。彼女のために受けようと思ったんです」
― それですぐに受けにいったと。
「はい。一応最後に彼女とエッチした日から1ヶ月経つのを待って受けに行きました。受けるまでの期間はなかなか辛かったですね…」
― と、いいますと?
「まず『自分がHIVなんじゃないか?』という疑心暗鬼がどんどん深くなって、少し不眠症になりました。夜はなかなか寝つけず、ネットでHIVのことを調べたり、『あと〇日で検査』と考えたりして、仕事もあまり手に付かない日々を過ごしました」
― 検査はどこで受けたのですか?
「自治体の検査も考えたのですが、僕が住んでいた地域は検査の結果に1週間ほど時間がかかるところだったので、さらに1週間この日々が続くと思うととてもじゃないけど耐えられないと思い、15分ほどで結果がわかる血液検査を新宿のクリニックで受けました。検査料に1万円かかりましたが、早く結果が出たので精神的には楽でしたね」
― 結果はどうでしたか?
「無事、陰性でした。ただ結果を待っていた15分は何時間にも感じられましたね。もし陽性だったら…とドキドキしてたので、正直あまり覚えていません」
― まだ検査を受けたことがない人に一言ありますか?
「もし1%でも可能性を感じるなら、いますぐ検査を受けたほうがいいと思います。HIVに感染していたとしても、適切な治療を行えば現在では40年ほど生きることも可能と言われていますし、何よりも大切な人がいる場合、その人に感染させてからでは遅すぎるので」
HIV感染の時点で気づくことができれば延命は可能ですが、気づかずにエイズを発症してしまったらどうすることもできません。自分の身を守るため、そして大切な人を守るため、可能性がゼロではない人は一度検査を受けてみてはいかがでしょうか。
(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)
対象:全国20代~60代男女計1684名