母校に断られ→○○で教育実習に奮闘中【たかまつななのお笑いジャーナリズム論】
みなさま、ごきげんよう。フェリス女学院出身のお嬢様芸人、たかまつななでございます。
ついに、フェリス女学院からおクレームが入ってしまいました。そして「校長先生が不快感を感じていらっしゃる」との情報を小耳に挟みました。不快感を感じているのは、校長先生だけではございません。
私のお母様も同様に不快感を感じております。「お笑い芸人になるのが不安だ」と言うお母様のために、私は現在、慶應大学に通いながら、教員免許の取得をめざしております。
教員免許を取得するためには、教育実習に行かなければなりません。普通、教育実習は、母校に参ります。ところが、フェリス女学院にお願いしたところ、断られてしまいましたの。
慶應大学の先生に相談するも、
「お笑い芸人が教育実習なんて、生徒の通常の授業を妨げることになり、学習権の侵害にあたる可能性があります」
と、言われてしまいました。
慶應の先生方は私のことをご丁寧に調べてくださったようで、
「あなたはゴールデン番組の出演のご経験もたくさんおありです。
ですから、そのような方が高校に来たら、生徒が騒ぎを起こし、通常の授業ができない怖れがあります」
というのです。「自己開拓してください」と言われる始末です。
こうして、自分で実習校を探すことになりました。そして、ようやく、高校時代の恩師の先生にご紹介いただき、実習先が決まりました。
実習校は、沖縄県立久米島高校でございます。そして6月1日から私の教育実習が始まりました。
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■沖縄での教育実習生活がスタート!
母校ではないため、生徒の様子が一切分かりません。東京では芸能人がうろうろしているから、たまに街で声をかけられますが、そんな騒ぎになったことなどございません。
久米島では、慶應の先生方がおっしゃるように騒ぎになるのかしら、どきどきわくわくしました。
ところが、騒ぎには全くなりませんでした。でも、生徒の皆さんが楽しみにしてくれていたようで、この黒板を見て泣きそうになりましたの。
そもそも私が教育実習に来たのは、「お笑いを通して、社会問題を発信する」お笑い界の池上彰になるためです。
社会問題を知れる唯一の教科である現代社会(公民科)の授業を分かりやすく面白くして、実社会との繋がりを感じてほしいという願いがあります。
担当の先生の「なな先生の好きなところを教えてもいいよ」という優しいお言葉から、私の教材作りがスタートしました。
バングラデシュとカメルーンに行き、国際協力の現場をリポートした経験を活かし、国際協力について扱うことにいたしました。
国際協力のイメージを働かせるため、さらには面白くするために映像を自分で編集。50分の授業で36枚のパワーポイントを作るという作業によって、深夜の3時に寝て5時に起きるという生活を楽しみました。
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■なな先生の授業は面白いより、楽しい?
作業の回があって、生徒から「楽しかった」という感想が多くみられるようになりました。楽しかった? 何ですって?! 私は「面白かった」と書いてほしいのです。
国際協力の現場の声が伝わり、分かりやすく伝えるということは果たしました。ですが、それはある程度教壇に立てば、できることなのではないでしょうか。
お笑い芸人の私が来る意味、それは「面白い授業」を展開することなのです。
生徒が盛り上げようと面白い発言をしてくれます。カメラが回っている収録現場なら「私がこう言ったら、笑いになるわ!」と予想できても、その言葉が笑いと受け取られなかったら、どうなるのか…。
そんなことを考えると、発言しにくくなってきます。
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■自分たちの問題でもあると、気づいてもらえた!
第1回目では、発展途上国の現状と原因を伝え、第02回では国際協力の目的についてお伝えしました。
どこか遠い国の人たちの出来事ではなく、自分たちの問題でもあることに気づいてもらうために、「日本が他国との関わりがなくなったらどうなるだろう?」というマインドマップを生徒の皆さんに描いていただきました。
最初は、発展途上国が抱える貧困や経済力の低さなどの問題はどこの国の問題でしょう?と、きくと、「バングラデシュ、ガーナ、フィリピン」などと答えていた生徒たち。
ところが、マインドマップを描いた後には、「アメリカ、フランス、日本」などの先進途上国も列挙していきました。
発展途上国で起きている問題が世界の問題だと自ら気が付いたのです! これは、本当に本当に嬉しゅうございましたわ。
第3回の授業では、国際協力の課題について、立場が違うと意見が変わってしまうことをロールプレイングゲームをしながら、気づいてもらおうとゲームを考えております。
そこから、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという関係、トレードオフについて知り、国際協力以外にもどのような問題があるのか理解できるようにしたいと思います。
物事の本質を伝える、分かりやすい授業を行うというのだけでも苦労しております。今、一番の不安はロールプレイングゲームが盛り上がるかということですわ。
どうして「面白い!」と言ってもらえないのか…教室から見える海を眺めながら、考えております。
(文/お笑いジャーナリスト・たかまつなな)