牡蠣マニアが教える!一見さんお断りの日本酒と牡蠣の聖地「酒徒庵」が9月に閉店!
日本酒が大好きな人の間では有名な四谷三丁目にある一見さんお断りの日本酒専門店の「酒徒庵」。牡蠣のクオリティも非常に高く、牡蠣料理も潤沢にあることで有名ですが、その酒徒庵がなんと今年の9月で閉店してしまうというではありませんか!
これまで半年に一度はお邪魔して天国を味わっていたのにもう行けないなんて…。ということで最後のお別れに伺うことにしました。
酒徒庵は一見さんお断りのお店。以前から通っている常連さんを大事にされているので、電話番号も非公開。その為行きたくても行けない人がたくさんいて、皆その“常連さん”を探し当てて連れて行ってもらえるよう頼むことに必死になっています。
もし1回行けたとしても、たぶん次の予約は取らせてもらえないでしょう。店主とある程度の仲にならないと予約の権利は与えてもらえないという噂もありますがそこらへんはあまり明確にはされていません。
日本酒専門を謳っているので用意しているのは日本酒と水のみ。それ以外のビールやハイボールなどのお酒は一切ありません。なので日本酒を飲めない人は入店できませんし、それ以外にもルールがたくさんあります。
例えば、香水をつけた人の入店、他のお客様にうんちくを語ってナンパをする、「すいません」と何度も呼ぶなどの行為は全てお断り。でもそれは単に規制したいからではなく、お客様に安価で提供するために少人数での運営にしているお店の想いがあるからなんです。
日本酒と牡蠣を愛するお客様は騒ぎ立てることも、わがままを言うこともなく平和に楽しく時間を過ごします。とはいえ、そんなひっそりと飲んでいる訳ではないですよ。ちゃんと「ガハガハ」笑うくらいはOKです。
店内にはずらっと酒の銘柄が書かれた前掛けが貼られており、用意されている酒のラインナップの幅広さを物語っているかのよう。
この日は夏場で海温が上がっており、店主の納得いくものがなかったようで、牡蠣の種類が少なく北海道の仙鳳趾と長崎の五島の2種類のみ。多いときは10種類ほどあります。
身はふっくらと、ちょうど産卵期でクリーミーさもあり、濃厚なタイプが好きな人にはたまらない状態です。
食後のエグみもなく、口に残った牡蠣のアロマと日本酒を掛け合わせるとその味わいの華やかさがさらに開いていきます。牡蠣には白ワインでしょ、なんて決めつけるのはナンセンス。牡蠣に日本酒もベストカップルです。
合わせた日本酒の一部をご紹介すると、まずは宮城の7蔵元がそれぞれの得意な部分を出し合って作り上げた今年話題の1本、DATE SEVEN。7月に出たばかりの大吟醸ですが芳醇さの後に凛としたすっきりとした味わいがあり、一口、また一口と止まらなくなる旨さ。
また、次にはスタンダードなお酒ランキング1位を過去に受賞した人気の日本酒、喜久酔の松下米バージョンが出てきました! この松下米というのは喜久酔の地元静岡の農家の松下さんが作り上げた山田錦なのですが、その非常に美味しい米を使って作った希少な酒であり、飲めるお店なんて他にあるんでしょうか? といった具体の超絶レアなお酒なのです。
他にもこういったレアなお酒が店の冷蔵庫にぎっしりと入っているのですから、そりゃみんなリピートするし、聖地とも言われるわけです。
ちなみにお酒を頼む時は基本的にお任せで、頼み方もおおまかに3タイプの言い方が決まっています。1.軽やかでスッキリしたタイプ、2.ちょっと香りがありふくらむ甘さがあるタイプ、3.お米の旨味やコクを味わえるタイプ この3つの中からその時の気分を伝えます。が、だいたいいつも「おまかせで!」の一言でセレクトされて出てくるもので大満足。
これだけうまい日本酒が揃っているのでそれに合わせる肴も最高にうまいものが用意されています。
鯖の燻製に酒盗チーズのポテトサラダ。いつもはバジルポテトサラダですが、この日は酒盗バージョンが。これはたまらん一品でした。
他にも塩辛や粕漬けなどの酒の肴はもちろん、ニラ玉などのほっこりメニューもあり、あれもこれも頼んでみたくなるものばかり。あぁ、これももう最後なのか、と思うとさびしくてたまりません。
閉店理由は店主に聞いても「特に何も考えていないんだよね」とのことで具体的にはわかりません。
牡蠣と日本酒の聖地の閉店はファンにとっては悲しいものですが、またいつかどこかで復活してくれることを密かに期待して待ちたいと思います。
ありがとう、酒徒庵。さようなら、酒徒庵。また会う日まで。
(文/しらべぇ編集部・denco)