中国人観光客が増えるのは歓迎?反対?「爆買ブーム」はどこへ行くのか
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最近、繁華街や観光地でつとに「中国からの観光客」を見る機会が増えた気がしないだろうか。
2000年に始まった中国への観光ビザ発給は、団体旅行客のみから2009年に「富裕層の個人旅行」にも拡大されるなど段階的に条件を緩和。今年も1月19日から、さらに有効期間や申請条件などが緩和されている。
実際にどれくらいに数の中国人が日本を訪れているのか、データで見てみよう。
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■ここ3年は「倍々ゲーム」の勢い
日本政府観光局によれば、2003年には50万人を切っていた訪日中国人の数は、個人旅行が解禁された2009年には100万人を超え、昨年はおよそ240万人。今年は7月までの累計ですでに270万人を超えている。
GDPで日本を抜き、成長を続ける中国からの観光客は、豪快な買い物ぶりも話題だ。2月の春節(中国の正月)の際は、来日した家族連れが炊飯器や温水洗浄便座などを山積みにしている様子が報道された。
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■「爆買い」効果はデータで歴然
観光庁が発表しているデータを見ると、中国人の「爆買いぶり」は明らかだ。
2015年4月〜6月に来日した中国人が旅行中に使った金額は、1人あたりおよそ23万円。調査対象20ヶ国の中で最多で平均の1.6倍、もっとも少ない韓国の3.7倍である。また、昨年とくらべても18%ほど金額が増えている傾向だ。
このように、人数も消費額も増えつつある訪日中国人は、日本ではどのように受け止められているのだろうか? 全国20〜60代の男女1345名に聞いてみた。
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■中国からの観光客増加に「賛成」はわずか2割
中国からの旅行者が増えることに「賛成」と答えたのは、わずか2割弱。ほとんどの日本人は、あまり良くない印象を持っているようだ。
隣国といっても文化やマナーの違いや、国際関係の悪化などが影響している可能性がある。
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■社会的な地位が高い人は拒否感が強い?
来日する中国人への賛否は、職業によって大きな差があらわれた。
「増えることに賛成」とする人の割合が、もっとも高かったのは自由業、次いで無職が続く。会社員もわずかながら平均を上回った。一方、公務員や経営者では、めだって低い。
会社を経営する人にとっては、「爆買い」など新たなビジネスチャンスにできる状況のはず。しかし、今の日本社会で高い地位を占めている人たちにとっては、「上品で美しい日本」が乱されるのが許せなく感じられるのかもしれない。
(文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2015年7月24日~2015年7月27日
対象:20代~60代の男女1379名