【明日深夜解禁】毎年ほめすぎなボージョレ・ヌーボーの評価をグラフ化してみると…
©iStock.com/ventdusud
11月の第3木曜日といえば、ワイン好きの人でなくてもピンとくるかもしれない。フランス・ブルゴーニュ産ワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」の解禁日だ。
ボージョレといえば、フレッシュな味わいも人気だが、もうひとつ注目を集めるのが、毎年エスカレートしているかに見える「売り文句」。「◯年に一度」が連発されすぎているような印象はないだろうか?
そんな中、とあるツイッターユーザーがボージョレ売り文句20年の歴史をグラフ化して話題を呼んでいる。
■まず20年分のキャッチコピーから確認しておこう
・95年「ここ数年で一番出来が良い」
・96年「10年に一度の逸品」
・97年「1976年以来の品質」
・98年「10年に一度の当たり年」
・99年「品質は昨年より良い」
・00年「出来は上々で申し分の無い仕上がり」
・01年「ここ10年で最高」
・02年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄え」「1995年以来の出来」
・03年「100年に一度の出来」「近年にない良い出来」
・04年「香りが強く中々の出来栄え」
・05年「ここ数年で最高」
・06年「昨年同様良い出来栄え」
・07年「柔らかく果実味が豊かで上質な味わい」
・08年「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」
・09年「50年に一度の出来栄え」
・10年「今年は天候が良かった為、昨年並みの仕上がり」 「1950年以降最高の出来といわれた2009年と同等の出来」
・11年「近年の当たり年である2009年に匹敵する出来」「3年連続で、とても偉大な品質」
・12年「ボジョレー史上最悪の不作」
・13年「記録的な不作だった昨年は上回った」「みずみずしさが感じられる素晴らしい品質」「小粒だが味の濃いブドウが収穫できた」
・14年「近年の当たり年である2009年と肩を並べるクオリティ」
・15年「我がワイン人生最良のヌーヴォー」
これだけだと全部ほめまくっているようにも見えるが、「もっとわかりやすく視覚化できないか」とつくられたのが、件のグラフである。
関連記事:【ソムリエ語る】ボージョレはヌーヴォーだけじゃない!解禁日には「クリュ」を選べ
■買うべきか否かがひと目でわかるグラフがこれだ
95年を基準とし、上記の売り文句だけを期待値を評価している。その判断基準は、以下の通りだ。
<序列の判断基準>
① 10年に一度 < 50年に一度 < 100年に一度
② 99年「品質は去年より良い」 01年「ここ10年で最高」 02年「01年を上回る」など、 具体的な年次を指定した序列は遵守
③ 上々>中々
④ 強調語や比較数値などの、序列表現がないものは 「察せよ」ということだと判断し下位に置くこととするが 「最悪」などのワースト表現よりは上位と判断
<検討ポイント>
① 02年「1995以来の出来」に矛盾 ⇒「(香りの面では)1995年以来の出来」など、限定的高評価であると解釈することで矛盾を解決。
②「10年に一度」の頻出 ⇒「10年に一度」以上の品質が95年~04年に6回出現。絶対的評価 ではなく「この10年に一度」という相対比較解釈を加えた。
③「100年に一度の出来」と「我がワイン人生最良」に矛盾 ⇒ジョルジュ・デュブッフ氏は1933年生。「我が人生」と述べた15年時点では82歳。飲酒年齢など加味すると「60数年に一度」となるが 「100年に一度」も含んだ人生の中で最良という解釈を加えた。
というわけで、ワイン業者のマーケティング戦略はあるだろうが、今年のボージョレ・ヌーボーはかなり期待値が高いらしい。お味のほどは、今週木曜日をお楽しみに。
(文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)