懐かしの「e‐kara」が巻き起こした悲劇【成瀬心美の嫌よ嫌よも愛のうち】
みなさんこんにちは、成瀬心美です!
突然ですが、「e‐kara」(イーカラ)って知ってますか? もしかしたら、若い人は聞いたことないかもしれません。この間20歳の女の子に試しに聞いてみたら、「何かのからあげですか?」って言われたんで…。そんな…
●
「e‐kara」とは、タカラトミーさんが発売していた、テレビ画面でカラオケが楽しめるおもちゃのこと。たしか、わたしが小学校高学年くらいの時期に登場して、一時期は結構なブームでした。で、わたしにも家にもあったんです。(ポピラってゲームも一緒に発売してたなぁ! モーニング娘。がCMしていたのだよ!)
ただ、当時のわたしは、家族みんなでカラオケに行っても恥ずかしくて1曲も歌わないようなシャイな子でした。だから、「e‐kara」が家にやってきても全然関係ありませんでした……と、思うじゃないですかぁ~?
恥ずかしいのは、あくまで人の前で歌うのが恥ずかしいだけ。歌自体はむかしから大好きだったので、そりゃ家に誰もいなければ歌いますよ! しかも、普通に歌うのではなく、踊り付きでね。モーニング娘。の曲とかもフリコピ完璧で、合いの手なんかもやりますよ!
●
そんな“隠れアイドル”遊びを家でひとり楽しんである日、事件が起きました。
あのときは、たしかプッチモニの曲を歌ってたんです。フリ付き、歌詞に合わせたジェスチャー付きで。さらに、ライブバージョンを意識したコール&妄想レスポンスもアリでした。楽しいひとりタイムですよね!
ただ…歌い終わって後ろを振り返るとそこには……
お母さんが……。テンション上がりすぎて、お母さんが帰ってきていたのに気づかなかったんです…。その時点で既に窓を突き破って空中にダイブしたかったんですけど、この後のお母さんの一言が…
「うるさいよ」
ノリノリで楽しく歌ってるところを見られて恥ずかしいなか、「うるさい」はとどめですよね。とどめ。「楽しそうだね」とか「上手いね」とか言ってくれたらまだ良かったのに、うるささを指摘された…。
このときのトラウマで、わたしはいま、“ひとりカラオケ”のときに店員さんとか他のお客さんに歌うところを見られることができないんです。
●
さて、何が言いたいのかというと…。
この間初めて、ひとりカラオケ専門店の「ワンカラ」に行ったんです。最高でしたよ!
みんなひとりで来てるから、「ひとりで歌ってるところを見られたくない」という雑念から解放されるし、部屋がレコーディングスタジオっぽいから、まるでミュージックビデオを撮ってるような気分で気持ちよく歌えるんです。宇多田ヒカルさんの『Flavor Of Life』のイメージね。
なんか、ひとりの時間の居場所ができた感じがします。
ただ、やっぱり店員さんがドリンクを持ってくるまでは歌えませんね。トラウマはなかなか消えません…。
(文/成瀬心美)