「死ぬ気でやれ!死なないから!」50.7%はそのセリフ説得力感じてません…
監督や上司などの指導者の中には、生徒や部下のやる気を鼓舞させるために精神論を大声で叫ぶ人が少なくありません。こうしたワンフレーズ精神論は、相手を説得することを企図した冗長で論理的なセリフよりもシンプルに情緒に訴えかける点で、生徒や部下のやる気を素早く引き出しやすいという指摘があります。
そんなワンフレーズ精神論の一つとして挙げられるのが「死ぬ気でやれよ!死なないから!」です。このセリフには、自らの生命が絶たれる直前の状況まで自己を追い込むことで「本気」が見えてくるに違いない、という指導者の持論が見事に凝縮されています。
ではこのセリフ、実際世の中でどれだけの説得力を持っているのでしょうか。その割合を調べてみました。
【質問】
あなたは、一部の指導者が口にする「死にはしないのだから」というセリフに、説得力を感じますか?
・説得力を感じない:50.7%
・説得力を感じる:49.3%
わずかな差で説得力を感じない人のほうが多い結果となりました。このセリフ、誰でも一度は耳にする機会があるものの、教育効果にはやや疑問符がつくようです。
「死ななくてもイヤなものはイヤ」「想像力の欠如を感じる」という声
アンケート調査で「説得力を感じない」と答えた人たちの意見を一部ご紹介しましょう。
・中学時代の野球部にて。デッドボールで肋骨に激痛が走って動けなくなったときに「死にはしないから大丈夫!ラッキーラッキー!」とコーチが口走った。状況を読めない指導者だったと思う(20代・男性・営業)
・ジェットコースターが苦手な私に「死にはしないから大丈夫!」と声をかける友人がいた。そんなことはわかってるし、死ななくても絶対的にイヤなものはイヤなのにコイツは何もわかってないと感じた(30代・女性・派遣)
・そもそも、「死ななきゃなんでもいい」なんて思っていない(30代・男性・無職)
・よく楽観論者が「死ななければ世の中ほとんどのことはなんとかなる」と口にするが、極論と比較した相対評価などなんの意味も持たない。例えば、大きな借金を抱えて大けがをしていても「死ななくてよかった」などとすぐに思えるだろうか(20代・男性・大学院生)
・ある時期、「死ぬ気でやれよ。死なないから」というセリフを決め台詞のように吐く男たちが跋扈していましたが、気付けばそのほとんどを見かけなくなりました。こうした雑なセリフを吐いていたことも撤退要因の一つではないかと思っています。無根拠なセリフで意識を鼓舞する方法は事態を見誤るので不健全極まりないです(40代・男性・会社経営)
・何かに本気で取り組むときに「死」を安易に持ち出すことは死者への弔いと畏敬の念を欠いた行為。想像力の欠如を感じます。本当に結果を残したければ具体的な計画に落とし込んで自分の言葉で丁寧に物事を論じるはずです(50代・男性・公務員)
「死なないから」というセリフの意図は指導者によって様々でしょうから、回答者のコメントにあった意見はあくまでも一部にすぎません。とはいえ、このセリフに説得力を感じない人が50%を超えていたことは看過できない事実として指導者は受け止めるべきなのかもしれません。
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2014年10月17日(金)~10月21日(火)
対象:全国20代~60代の男女1500名
(文/しらべぇ編集部)