スター・ウォーズに学ぶ新米パパのスタンス
■喜びよりも不安が勝ると危険
ダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカーは強力なフォースを持ちながら、その扱い方を誤り、ダーク・サイドに堕ちました。
きっかけはパドメの妊娠でした。愛するパドメのほかに、さらに愛すべき存在ができたことはこの上ない喜びであるはず。しかしそのときからアナキンは、出産によってパドメが命を落とす悪夢を見るようになるのです。
守るべきものが増えた喜びよりも、守るべきものが増えた不安に意識が向いてしまったのです。
マスター・ヨーダは、
「死は生の一部である。受け入れなければいけない」
と説きますが、アナキンは聞き入れません。逆に暗黒卿は、
「ダーク・サイドの力があれば、愛する者を救えるかもしれない」
とアナキンをそそのかしました。
愛するパドメを守りたい一心で、アナキンは、暗黒卿の言いなりになります。文字通り、悪魔に魂を売り渡してしまったのです。暗黒卿の命令に従い、アナキンは、ジェダイを次々と殺してしまいます。子供までも殺してしまいます。
しかし結局、正義を失ったアナキンに対し、パドメは
「もうあなたにはついていけない」
と告げます。
「キミのためにすべてを捨ててここまでやってきたのに、なぜだ?」。
アナキンはパドメにまで裏切られた気持ちになり、パドメの首を絞めてしまう。悲しみのあまり、パドメも生きる気力をなくし、出産後に命果てます。
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■ダーク・サイドとは仕事優先の価値観
現実社会の中に、これをそっくりな構図がありますよね。
「愛する者を助けたいのなら、私の言うことを聞きなさい」
という暗黒卿のささやきは、
「子供ができたのか。では、ますます仕事をがんばらなければいけないね」
というセリフに似ています。愛する者を守るため、どんな命令にも従うという態度は、家族の生活のために理不尽にも目をつむりながら必死に働く者たちの態度に通じます。
愛する者のためにしている努力が、結局愛する者を傷つけ、愛する者を遠ざける結果をもたらすというジレンマ。そう考えると、ダーク・サイドとは、仕事優先の価値観のメタファーであると捉えることができるのではないでしょうか。
アナキンは、家族を守るために会社の言いなりになるサラリーマン。残業も休日出勤も断りません。上司に命じられれば、反社会的な仕事さえ遂行します。そんな夫を理解できなくなり、孤独を感じ、苦しむ妻がパドメ。2人の気持ちは離れていくのです。
新米パパにありがちな空回りではないでしょうか。
愛する者を守るために明日の糧を手に入れることは大切。しかし明日の糧を得るために最も大切な家族を傷つけてしまうのだとしたら本末転倒。
年末に新シリーズを見た人も多いと思うが、新年に改めて旧シリーズのスター・ウォーズを見て、我が身を正すのもいいのではないでしょうか。
※この記事は全国のFMラジオネットワークJFNの「OH! HAPPY MORNING」とのコラボ企画です。記事の更新は隔週木曜日10:30am。記事更新の約10分前から、おおたとしまさがこのラジオで記事と同様の話をおしゃべりします。
(文/おおたとしまさ)