「ごくろうさま」は上から目線?そのルーツから検証すると…

2016/01/06 16:00


©iStock.com/Stuart Jenner
©iStock.com/Stuart Jenner

昨年11月、大阪で投票を終えた70代の有権者に40代の職員が「ごくろうさまです」と声をかけたところ、「目上の人に使う言葉ではない」と有権者が激怒し、職員を平手打ちするなどして暴れ逮捕される事件が発生。

そもそも、公務員というだけで自分より「目下の人間」だと思っていたことに違和感を感じなくもないが、それは一旦置いておくとして、事件後、「ごくろうさま」という言葉が「失礼なのか」と議論になった。

ビジネスの場では目上の者が目下の者にかける言葉と教えられるだけに、イラっとする人は多いのだろうか?



■「ごくろうさま」と声をかけられイラっとしたことがある?

しらべぇ編集部ではアンケートサイト「マインドソナー」で「『ごくろうさま』と言われてイラっとしたことがあるか」を調査してみた。

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その結果、「ある」と回答した人は24パーセントと、さほど多くはないことが判明。少々、意外な結果にも思えるが、いかがだろう…?


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■なぜ目上の言葉になったのか?

目下が目上にねぎらいの声をかける場合は「お疲れさまです」が基本で、「ごくろうさまです」は目上の者がかける発言とされているが、軍隊や警察官など公務員は目上に対しても「ごくろうさまです」と声をかけることが多く、不可解だ。

ではなぜ「ごくろうさまです」が目上の言葉になったのか。「江戸時代の殿様が部下の苦労を労った時に使用した言葉だから」との説がある。

一方、70年代のオフィスでは目下が「ごくろうさま」と声をかけることも少なくなったとの声もあり、詳しいことがわかっていない。

現在有力な説として挙げられているのは、70年代に権威のある学者もしくはビジネスマナーを教える「誰か」が江戸時代のエピソードを踏まえ「目下が『ごくろうさま』と言うのは失礼」という常識を作り出し、広めていったことではないかと言われる。

が、これも定かではなく、本当のことはわかっていないようだ。


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■使わないほうが良いのは間違いない

日本語は非常に難解で、下に見ているつもりがないにもかかわらず「目上に使う言葉ではない」とされる言葉が存在する。たとえば「了解しました」という言葉も、目上の人間が物事を承認するために用いる言葉とされ、目下が使うと失礼と取られることがある。

今回の調査でもたとえ間違えたとしてもイラっとする人が少ないことが判明しているが、ビジネスの場では事件を起こした有権者のように、不快に感じる者も確実に存在しており、それが有力者の場合、損をすることもあるだろう。

「長い物には巻かれろ」ではないが、 やはり相手の労をねぎらうときはどのような時でも「お疲れ様です」を使っていたほうが無難なようだ。

(文/しらべえ編集部・佐藤 俊治

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