永井荷風もお気に入りだった旧赤線地帯の街にオシャレカフェ
東京にある旧赤線エリア「玉ノ井」。現在では、東武伊勢崎線・東向島の近隣になる。
以前、本サイトでも紹介した東京東部の「鳩の街」の近隣でもあるが、そこと比べると旧赤線エリアとしての爪痕は薄い場所。
1945年3月の東京大空襲で街のほとんどが焼けてしまい、建物はほぼ消滅したことが理由だ。
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■永井荷風もお気に入りの街
現在は、東京スカイツリーに近いこともあり、新興住宅街として高層マンションがタケノコのごとく迫ってきている。
作家の永井荷風もお気に入りの街だった「玉ノ井」だが、小説『濹東綺譚(ぼくとうきだん)』でもかつての玉ノ井を知ることができる。
街は狭い路地や近道もあり、迷路のような道なりに。建物は消滅しているが、街のつくりを見ると、荷風が「ラビラント(迷宮)」と呼んでいた理由がわかる。
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■旧赤線エリアに増えつつある一軒家カフェ
痕跡がほとんど消えてしまいつつある一方で、旧地にはアーティスティックな一軒家カフェが続々登場してきている。その中のひとつが『玉ノ井カフェ』だ。
地元住人にも愛され続け、地域イベントの場としても使われているようだ。店内は、永井荷風推しになっている。
食べ物はほぼサンドイッチとスイーツのみだが、店内にある書籍もゆっくり読めてくつろげる。
荷風ブレンドを飲めば、荷風と心の中で文学散歩ができるかも。苦味が少なく、飲みやすい。夜にはビアが呑めたりもするようだ。
人気の玉子トーストサンドを食べてみると…パンがぱりっぱり! 玉子は濃厚で安定のウマサ。
旧赤線地帯にある憩いのカフェ。歴史を感じながら食事を楽しむひとときを味わってみてはいかがだろう。
【玉ノ井カフェ】
東京都墨田区東向島5丁目27-4
営業時間 11:00〜18:00
定休日 水・木曜日
(取材・文/しらべぇ編集部・松岡佑季)