Androidスマホが500円!?アジアで急拡大するモバイル事業
東南アジアと南アジアで、「革命」が起こりつつある。だが、それは政変ではない。一言で言えば、「モバイルネットワークによる産業革命」である。
スマートフォンという文明の利器は、我々人類の生活を大きく変えた。ここで8年前を思い返していただきたい。iPhone 3Gが日本に上陸したのは2008年だが、それ以前と以後では我々を取り巻くインターネット環境はまったく違う。
スマホはまったく新しい産業を生み出しているのだ。
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■500円で買えるスマホ
先日、インドの携帯電話メーカー『Ringing Bells』が、『Freedom251』という新機種を発売した。驚くことに、販売価格はと251ルピー、日本円にして420円ほど。
このFreedom251に対して、他社から疑問の声が噴出している。機種の販売だけでは収益を上げられないことは、誰の目にも明らかだ。
メーカーは収益構造の詳細を公表していないが、代わりにこのような声明を出している。
「我が社はインド発展のために尽くそうとしている」
これは一体、どういう意味か?
■Androidと新興国
Freedom251の搭載OSは、Android5.1である。じつはAndroidほど、新興国の政府にとってありがたいモバイルOSはない。
機密主義のAppleやBlackBerryとは違い、GoogleはOSを開放している。すると当然ながら、Androidスマホは大量生産が可能になる。新興国の中小モバイルメーカーが独自の製品を開発し、それに合わせて生産工場が建てられる。
地場産業の発展に直結するのだから、そういう意味でAndroidは新興国にとっての「救世主」なのだ。Androidスマホの製造メーカーは、現地政府からの支援も受けやすい。
Ringing Bell社の強気な声明は、あながち間違いではないのだ。
逆に言えば、iPhoneはあまりありがたくない存在である。新興国から見れば100%輸入製品だし、そもそもApple製品を購入できるのはごく一握りのアッパークラスだけだ。だから国によっては、Apple製品に贅沢品税をかけている。
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■誰しもがスマホを持つ未来
いずれにせよ、ASEAN諸国とインドに住む20億人の市民が一斉にスマホを持ち始めたという事実には変わりない。
するとモバイルアプリを介したビジネスが現地に芽生え、発展する。Uberの配車サービスは世界各国で爆発的に普及しているが、その要因にスマホの低価格化があるのは明白だ。
もうひとつ例を挙げれば、東南アジアの国々では50cc以下のミニバイクを使ったビジネスが盛ん。バイクタクシーやメッセンジャーなど、ミニバイクがなければ市民生活が成立しないというほどだ。
それらのサービスをスマホアプリで予約するという事業が、すでに存在している。
インドネシアでは『Go-jek』というバイクタクシーのサービスが、去年急速に普及した。使い方はUberのそれと同じ。スマホを使ってバイクタクシーを任意の場所に呼び出すというものだ。
こうしたサービスの広がりは、今までにない新たなビジネスチャンスを生み出し続けている。
(文/しらべぇ編集部・澤田真一)