ドラマで注目される「不倫」の大きな原因は? 慰謝料相場は?
弁護士がくわしく解説。
今回の法律コラムでテーマにさせていただくのは、「最近、急増している(!?)平日昼顔妻」。そう、上戸彩さん主演のドラマ『昼顔』(フジテレビ系)でもテーマになっている“不倫”です。当事務所にも、実際に女性側の不倫が問題になっている相談が増えてきています。
読者の皆さんのなかには、ひょっとして不倫経験者、現在進行形で不倫中、もしくはパートナーの不倫を疑っている奥さま旦那さまもいらっしゃるかもしれません。そんな皆さまに、「不倫と法律」のことをお知らせしていきたいと思います。
■不倫と法律
まず、法律上「不倫」とは何なのでしょうか? 「浮気」と何が違うのでしょうか?
「不倫」とは、一般的に、配偶者のある男や女が配偶者以外の異性と恋愛し、性交を行うことを指します。ただし、法律上「不倫」という言葉はありません。似たような言葉として、「不貞な行為(不貞行為)」という言葉があります。
「不貞行為」とは、配偶者のある男や女が配偶者以外の人と性行為をすることを指し、法律上の離婚の原因(条件)のひとつとなります。つまり、現在の法律や裁判では、原則として、性行為をしていない限りは離婚の条件である「不貞行為」とまではいえないのです。
他方、「浮気」は人によって内容が変わってきますね。自分の夫や妻が他人とキスしていたら「浮気だ!」と思う人もいれば、手をつないだり、異性と食事に行った段階で「浮気だ!」とみなす人もいます。そう、法律上具体的には定義されていないのです。
ところで、キスや性行為に類似するような過激な行為までしておいて、離婚はできないのでしょうか? 不平不満を持つ人が多くいることは存じていますが、原則として、キスをしたり類似行為をしたりしたのみでは、「不貞行為」とはいえません。
だからといって、安易に「やった! たくさんキスしたり、アレしたりしよう!」と思い、実行するのは考えものですよ!
1回2回のキスならともかく、オーラルセックスや射精を伴う行為は、性行為の類似行為とみなされ、それが原因で「もうこの配偶者と一緒に生活を送れない!」となり、同じく法律で定められた離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性もあり、離婚できる場合もあるので、要注意です。
では、そんな離婚の原因となるリスクを背負いながら、なぜ人は不倫をしてしまうのでしょうか…? 筆者の経験、そしてアンケート調査による結果は以下のようになっています。
関連記事:【法律コラム】その「ムラムラ」が命取り!夏に多い性犯罪と最新の手口を調べてみた!
■不倫の理由は?
・不倫の理由のランキング(弁護士アンケート調べ)
1位:「配偶者とのセックス自体の不満(セックスレスを含む)」
2位:「配偶者との性格の不一致」
3位:「配偶者が浮気をしていたから」
トップ3は、多くの人が予想できそうな理由となっています。その次に多かったのは、「つい酔ってしまって(勢いで)」という理由でした。
意外な理由としては、「本能で男を求めた」「夫との夫婦生活は満足しているけど、人生は一度きりだから、もっと刺激が欲しかった」「単にHが好きだから」という理由もありました。そしてなかには、「旦那に対する嫌がらせ」という理由を持つ人も…。夏の怪談話より怖ろしい理由ですね。
では、『昼顔妻』たちが選ぶ、不倫相手とは…?
・不倫の相手のランキング(弁護士アンケート)
1位:職場の人間(上司、部下、同僚)
2位:職場関係の営業先、仕事先の男性
3位:元カレ、男友達
これまた、予想通りといえそうな結果となっています。この他には、「PTA関係」、「同窓会」、「出会い系やSNS」「合コン、ナンパ相手」というのもありました。
以上のように、男女の出会いというのはいたるところにあります。ちなみに、職場については、特に拘束時間の長い職場における不倫の発生が多い傾向がありました。時間を共有することで、恋や情熱が芽生えるのでしょう。
関連記事:【法律コラム】こんなところで! 夏の(意外な)盗撮スポット徹底調査
■慰謝料額は?
さて、怖いのは、不倫(不貞行為)がバレた場合のこと。読者の皆さんのなかには、もしかしたらバレるかもしれないとドキドキしている方、またはすでに慰謝料を請求されたという方もいらっしゃるかもしれません。
慰謝料の相場は、個別具体的な理由によってきますが、相場は、100万から300万程度と言われております。
なお、当事務所では、不倫(不貞行為)相手から1000万円以上の慰謝料を得たことも何度かありました。数回の逢瀬で、1000万円以上…。下品な計算をすると、1回のセックスが数百万…ともいえそうです。金額にすると、不倫の怖ろしさが身に染みて分かってしまいますね。
不倫は、「甘くて切ない恋」という方や「結婚生活のスパイス」と言う方もいますが、ちょっと(?)リスクが大きいので、軽い気持ちで踏み出さないよう、気を付けるようにしてくださいね。
(文/弁護士・佐藤大和)
※画像はフジテレビ系列のドラマ『昼顔』のスクリーンショットです。
(文/しらべぇ編集部・佐藤大和)