税金を取るのが目的なのに…赤字会社に税務調査って何の意味があるの?
先日、カフェにいた男性2人がお金のことを語っていました。
どちらかが会社の経営者もしくは経理担当の方でしょうか、年末の押し迫った時期でしたので、お金の工面の苦労話から挨拶が始まる会話でした。
当方も雑談しつつの漏れ聞きでしたが、「赤字会社に税務調査って何の意味があるの?」なんていう発言も聞こえてきましたよ。
皆さんのまわりでも「赤字なら税務署は来ない!」という噂をお聞きになった方がいるのではないでしょうか? 果たしてこの真偽は?
■「赤字なら税務署は来ない!」の真相とは?
元税務職員の弁によると、「税務調査は税金を取るのが仕事ですから、税金を取りにくい赤字会社には行きたくないのも事実」とのこと。なるほど~、やっぱりそうですか!
しかしながら、赤字会社=税務調査をしないということではないそうです。
というのは、企業が払う税金には
1)法人税 (★国税)
2)消費税 (★国税)
3)源泉所得税 (★国税)
4)法人住民税 (☆地方税)
5)法人事業税 (☆地方税)
6)固定資産税 (☆土地建物へかかる地方税)
などがあります。
このうち、法人税とは、会社の収益に対して課せられるものです。
現在の税制では、収益×税率ですので、赤字会社からは法人税を取ることができません。会社に対する税務調査は、法人税が中心となっていますので、冒頭の「赤字会社に税務署は調査に来ない」という発言が出てくるのだと思われます。
しかしながら、この〝収益×税率″の方程式に着目した経営者や経営陣が、別会社の利益を意図的に赤字会社に付け替えて節税(脱税?)を図るといった不正計算がなされる場合があります。グループ会社全体で見て、多額の税金追徴金がなされるといったニュースを時々聞きますよね。このように、会社同士での帳尻合わせということも考えられますので、税務署は赤字会社であっても調査に入ります。
2012年2月のデータによると、現在の日本においては統計上99.7%が中小企業・小規模事業者だそうです。中小企業においては、景気回復の実感はまだまだ薄いという報道も多いですね。まっとうな経営で精一杯頑張っていても、思うような黒字が出せず、やむを得ず赤字になってしまったという会社が世の中には多数あるでしょう。
こういう赤字会社から法人税は徴収できませんが、消費税や源泉所得税は、赤字・黒字に関係なく確実に支払わなければならないものです。
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■今後の税制改革に注目
近々、税制改革があるようですね。
法人税は減税される見込みで、今後は消費税や源泉所得税が税務調査の中心となるという予測があるそうです。となれば、赤字・黒字に関係のない税務調査が、どんどん行われる可能性も増えてくるわけです。税務署側は、今後、赤字会社であっても調査に入っていくことでしょう。いつも同じ会社ばかりを調査しているわけにはいきませんからね。
……ということで、経営者ならびに経理担当の皆様、心の準備を怠りなく!