【法律コラム】高額な賠償額にビックリ! 自転車事故の原因が「欠陥」によるケース

2015/03/08 16:00


しらべぇ0308自転車

今や、皆さんの生活に欠かせない存在である「自転車」。通勤に使っている人も多いと思います。筆者も子どものころからずっと乗り続けてきました。もう私たちの生活における「相棒」もしくは「恋人」みたいな存在ですよね。

しかし先日、そんな自転車が壊れてしまい、前歯数本が折れるという痛ましい事故が起きました。さて、今回は、そんな自転車について「ドキっ」とするようなお話を少し法律と絡めてお話していきましょう。


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■自転車が故障して怪我をした人は?

自転車が壊れて怪我をした人の割合は、私独自の調査によりますと…1%以下

しらべぇ0308自転車2このように自転車は「ほとんど壊れない」、ましてや「故障によって怪我までしない」ということがわかります。

しかし、油断をしていると大事故に。「安心・安全」と思われている自転車でも、強度不足や組立段階での取り付け不備や締め付け不足、部品の加工不良などが原因で壊れて、怪我をするというケースも少なからずあります。

なかには、「重い後遺症」が残ってしまったケースもあるのです。自転車の場合、車やバイクと異なり、無防備であることが多いため、大きい怪我をしてしまう場合があります。


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自転車の欠陥が原因の事故ではどんな法律が適用されるの?

皆さんは、「製造物責任法」という法律を聞いたことがあるでしょうか? この「製造物責任法」では、製造業者等は、製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したとき、損害賠償責任を負うと定めています。

つまり、自転車メーカーなどの製造業者は、強度不足等の欠陥により、怪我を負わせた場合には、損害賠償の責任を負わなければならないのですね。


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輸入業者も責任を?

そして、なんと、「製造物責任法」で定めている「製造業者」には、「製造物を業として製造、加工又は輸入した者」として、「輸入業者」も含まれているのです。

そのため、海外の輸入自転車であっても、輸入業者が損害賠償責任を負うことになっています。そういった場合は、海外の製造業者を訴えるのが難しいということがありますね。


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■では、どのくらいの損害賠償が? 高額な賠償額も!!

しらべぇ0308自転車1

次に具体的なケースを見ていきましょう。意外に高額でびっくりしますよ。

<ケース1 オーダーメイドのロードレース用自転車が…>

男性がオーダーメイドのロードレース用の自転車に乗っていたところ、走行中に突然、乗っていた自転車のフロントフォークが折れて転倒して、四肢に麻痺などが残ってしまったというケース。このケースでは、男性が自転車製造会社に損害賠償を求め、約2億1000万円で和解をしています。


<ケース2 輸入自転車の前輪が外れて…>

イタリアの自転車メーカーが製造した自転車を走行中に、前輪が外れて転倒して、身体に障害が残ってしまったというケース。

このケースでは、男性が自転車を購入してから6年以上の月日が経過していましたが、「保管やメンテナンスの状況を考慮しても、通常備えるべき安全性を欠いていた」と判断され、約1億8900万円の支払いを命じる判決が出ました。


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■おわりに

おかしな使い方をしない限り、単独事故などはそうそう起こらないと思われがちな「自転車」。でも、意外にも、「自転車そのものの欠陥」が原因で事故が起きてしまう可能性もあるのですね。

自分の予期せぬ「欠陥」は防ぎようがないとしても、せめて普段から、マイチャリのメンテナンスだけは怠らないように気を付けておきたいですね。通勤、通学など自転車を頻繁に使う方々は、一度、自転車のお手入れをしてみてはいかがでしょう。

(文/弁護士・佐藤大和

法律通勤自転車
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