新歓の面白さを競う学生新歓コンテスト!優勝はブラック企業に手口を学んだサークル
毎年4月になると全国のどの大学でもみられる光景といえば、大学の入口からところ狭しとサークルが集まり、プラカードやビラを持って新入生に手当たり次第に声をかけたり、ランチや夜ご飯の約束をする姿。そう、新入生歓迎会、通称「新歓」です。
これって、20代〜40代くらいまでの方には共通の光景だと思います。サークル勧誘の伝統が代々受け継がれているのは嬉しい事でもあるのですが、デジタルやSNSが全盛にもかかわらず「昔からまったく進化していない」とも言えますよね。
今回取材した面白法人カヤック主催の「学生新歓コンテスト」は、新歓はもっと新しくて面白いことができるはずという想いから生まれたイベント。全国のサークル・学生団体を対象に新歓の面白さや注目度を競うコンテンストです。
サークルを審査する基準はコチラの3つ
1. 他がやっていないオリジナリティのある企画か?
2. 注目を集め、思わず友だちに話したくなる企画か?
3. 自分たちのサークルの特徴が伝わり、勧誘の効果がある企画か?
イベント当日は、新歓で実施した面白い勧誘や結果について、最終選考まで残った6組のサークルがプレゼンをおこないました。最終選考に残ったのは、下記の6組。
・東大みかん愛好会
・学生団体アイディアボックス
・オックスファム・クラブ早稲田
・サークルクラッシュ同好会
・男祭り
・縁日文化同好会
「東大みかん愛好会」に「サークルクラッシュ同好会」「男祭り」など名前だけみても面白そうな気配がしてくるサークルから、「学生団体アイディアボックス」「オックスファム・クラブ早稲田」のようなボランティアや社会問題に取り組むまじめな団体まで幅広く出場をした中で、見事優勝したのは「縁日文化同好会」。審査員が「満場一致のため2秒で優勝が決定した」とコメントするほど、勧誘方法もプレゼンも群を抜いた面白さがありました。
画像をもっと見る縁日文化同好会
縁日文化同好会は、設立8ヶ月と歴史がなく、メンバーは4年生4人・5年生1人と人数が少ない上に卒業も近く、全員が陰キャラという「未来がなさそうなサークル」(本人談)。この、「入るのはやめておいたほうが良さそう」なサークルが新歓で合計73人の入部希望者を獲得します。
勧誘の参考にしたのが、「やめておいたほうが良さそう」と言われているのに毎年大量に人を集めている「ブラック(とネットで呼ばれている)企業」。縁日文化同好会では、ブラック企業と呼ばれている企業の説明会にとにかく参加して手口を研究。ブラックと呼ばれている企業には、4つの手口があることを発見したそうです。
■4つの手口
① 入り口がたくさん(例:ブランドごとに採用、実質は同企業)
② モノで釣る(例:話を聞くとガチャガチャ回せます、◯◯食べながら説明聞きませんか?)
③ とにかく予約(例:都合のいい日程を選んだ人から帰っていいよ)
④ 楽しそうな選考(例:脱出ゲーム選考)
縁日文化同好会は、発見した4つの手口を全て駆使して勧誘をおこないます。例えば、「入り口がたくさん」では、サークルの構成要素を、「金魚すくい」「文化祭出展」「打ち上げで寿司」「杏仁豆腐が好きが多い」の4つに分解して、それぞれのポスターを提示することで興味の幅を広め入り口を増やします。
モノで釣ることに関しては、「ヨーヨーつり」や「どじょうすくい」を企画。新歓中に331人の体験者を獲得します。
そして、体験してもらった人には「とにかく予約」をしてもらいます。抜かりはありません。
最後は、説明会に来てくれた人たちに「縁日を見て、お寿司を食べに行けそうな文化祭企画を考えてみよう」と全員を巻き込んだ企画を立て、楽しさを演出したそうです。
このように、インターネットでブラックと呼ばれている企業のマーケティングを研究することで成功をおさめた縁日文化同好会。当日のプレゼンや資料もよく考えられており、審査員から「資料が欲しい」と声があがるなど、新入生だけでなく会場も虜にしていました。
審査員の方々
毎年4月の恒例行事である「新歓」。「昔からまったく進化していない」と思っていましたが、面白い新歓をやっているサークルもいることがわかりました。新歓は、企業に例えると採用や新規顧客キャンペーンに近いものがあります。企業も学生の新歓から学べることがあるかもしれません。
(文/しらべぇ編集部・砂流恵介)