公職選挙法改正で高校生も有権者に!「成人」とはいつからか?【法律コラム】
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突然ですが、みなさんは大人ですか?
こんなことを突拍子もなく尋ねると、頭がおかしいんじゃないかと疑われてしまいそうですが、そんな筆者も法的には、もちろん「成年」です(笑)。
でも「大人」ですか? と、急に聞かれると「まだまだ少年の心を持ち続けている、一応大人のような存在」ではないかと内心では感じています。加えて筆者は割と童顔で、たまに学生だと勘違いされてしまうことも(苦笑)。
そんな筆者のように大人になり切れていない、「一応大人」のみなさまのためにも、成人年齢と選挙権年齢についてお話します。
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■法律で「成人」の線引きはされているけれど・・・
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みなさんもよくご存じのことと思いますが、民法で「20歳」以上が成年と定められています。
結婚可能な年齢については、時代背景もあり、女性の結婚可能年齢を男性の18歳に合わせるような法整備を進めるべきという議論も。
しかし、現在のところ、日本における結婚可能年齢については、男性が18歳、女性が16歳。
そして、20歳に満たない10代の男女が結婚した場合には、その男女は「成年擬制(せいねんぎせい)」といって成年とみなされ、仮に10代のうちに離婚した場合にも、取引保護などの観点からその成年擬制はつづきます。
とはいえ、10代で結婚しても、たばこやお酒をたしなむことができる年齢は、「未成年者喫煙禁止法」や「未成年者飲酒禁止法」で定めがある通り、20歳からであることは変わりありません。
そして、エッチな本やDVDを買うことができるのも18歳から!昔から法に従順だった筆者ですら、10代の頃、どれだけ自分の欲望と戦ってきたことか・・・(笑)。
さてさて、みなさんは「成人」の年齢についてどんな考えをお持ちなのでしょうか。「成人」にまつわるこんなアンケートを行ってみました。
結果、約半数の方が20歳からが成人だと考えているのがわかりますね。
また21歳以上から成人だと考える人を合わせると、多くの方が10代後半から成人と考えることに対して否定的なようです。
ところで、成人年齢について世界に目を向けてみると、「18歳」が成人年齢の国・地域が最も多く(ネパールの16歳やプエルトリコの14歳のような例外はありますが)ほとんどの国・地域で18歳~21歳の間が成人年齢の基準。
結局のところ、日本も世界もおよそ10代後半~20代前半で、形式上大人として扱われるようになるようですね。
ところで、「成人年齢」の話と切っても切れない問題に「選挙権」の年齢があります。それについて、我が国ではいま戦後70年経ち、大きな変化を迎えています。
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■選挙年齢が引き下がり、高校生も有権者に
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選挙権年齢についても、世界的には成人年齢に合わせて「18歳」としている国・地域が多いです。日本については、戦後ながらく「20歳」とされてきました。
しかし、いま選挙権年齢について、日本は大きな変革期を迎えています。選挙権などを定める「公職選挙法」について、選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げるという改正案がつい先日(6月17日)に成立したばかりです。
一部ではありますが、高校生もいよいよ有権者になる日が近づいてきました。それに合わせて、公民科目の授業等で、「選挙権」を行使する主体となる意識を高める取り組みを積極的に行っている高校もあるそう。
大きな法改正は、ときに社会に大きな歪みを生むことがあります。ですが、今回の公職選挙法の改正によって、日本の将来について若い世代がより積極的に考えるようになるきっかけになれば良いですね。
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■おわりに
年齢を重ねる中で、人は自然と子供から大人への階段を上り、肉体的にも精神的にも成熟していくもの。
とはいえ、特に、10代後半~20代前半という時期は、法律などで形式的に大人と子供もの線引きをされているだけともいえます。
子供から大人になるのはいつなのか・・・簡単に答えは出ない難しい問題なのかもしれませんね。
(文/弁護士・佐藤大和)
【調査概要】
方法:マインドソナー
調査期間:2015年6月18日~6月18日
対象:全国10代~60代 男女計303名
あなたが考える「成人年齢」は18歳未満だと思う人
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あなたが考える「成人年齢」は20歳だと思う人
あなたが考える「成人年齢」は18歳だと思う人