約7割の人は知らない?まだまだ浸透していない「LGBT」という言葉【法律コラム】
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先日発売されたニンテンドー3DS向けゲームソフト「ファイアーエムブレムif」で、主人公が同性と結婚できるストーリーになっていることが任天堂から発表されました。
昨年同社が発売した別のゲームで同性婚ができないことについて、同社が欧米のゲーマーから批判され「失望した」とまで言われていた経緯があり、今回の作品はこの批判を受けたものであるようです。
そして、先日、アメリカの連邦最高裁判所では、アメリカの憲法は、同性婚者にも異性婚者と平等な権利を保障しているとし、全米で同性婚を認める判断を示しました。
まさにアメリカの歴史に新たな1ページが追加されたと言えるでしょう。
ところで、欧米と比較した場合、現在の日本では、同性愛について社会的な議論になることも決して多くはなく、この議論について真剣に考えたことがない方もいるのではないでしょうか。
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■そもそも「LGBT」ってなに?
マインドソナーで認知度を調査したところ、「LGBT」という言葉を知っている方は約3人に1人でした。
やはり、まだまだ「LGBT」という言葉を知らない方は多いようですね。
LGBTとは、下記の頭文字を並べた言葉になります。
L レズビアン(女性同性愛者)
G ゲイ(男性同性愛者)
B バイセクシャル(両性愛者)
T トランスジェンダー(性同一性障害を含む性別越境者)
もちろん「いやいや、この4つじゃ足りないよ!」という意見もあり、他にも、LGBTQ、LGBTT、LGBTTTと、様々な言葉も提唱されています。ですが、本コラムでは、LGBTという言葉に代表していただくということで、ご理解ください(汗)。
さて、今年、電通ダイバー・シティラボが行った調査によると、LGBTに該当する人は、日本では約7.6%というデータが出ました。
これは少なくない数字です。 例えば、1クラス30人の教室に2人以上のLGBTの方がいる計算になります。
もっと言えば、日本の人口は約1億2000万人ですから、単純計算で日本には912万人のLGBTの方がいることになりますね。
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■LGBTの人が感じている生きづらさ
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世の中には同性愛の人がいることを知識として知っていても、日本にLGBTの人が900万人以上いるということを実感している方は少なかったのではないでしょうか。 筆者もその一人です。
その最たる理由は、自分が「LGBT」であることを公言していない人が多いからでしょう。
残念ながら、現在の日本社会では、「LGBT」であることを公言することで受けかねない不利益も少なくはなく、公言することにはかなりの勇気がいります。
例えば、いじめ、セクハラを受けるといった周囲の人たちとの不利益や、就職活動がうまくいかない、住居がなかなか見つからないといった経済的なもの、結婚できないといった法制度的な問題も。
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■けど…初の制度で大きく変わるかも?
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ところで、今年4月、渋谷区でパートナーシップ証明を認める条例が成立しましたね。この条例は、渋谷区が同性カップルを「結婚に準じる関係」と認める全国初の制度です。
結婚そのものではありませんが、例えば、
・家族以外面会拒絶という病人のお見舞いに行ける
・パートナーが生命保険の受取人になれる
・区営住宅に申し込みができる
などの効果が期待されています。
証明書の発行は今年の10月末ごろからということで、この条例の実際の効果はまだ表れていませんが、良い方向に働くことを筆者も願っています。
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■最後に
最終目標は、このLGBTという言葉がなくなることなのではないかとも考えています。
性にはいろいろあるということが当たり前になり、「LGBT」という言葉がなくなり、「ああ、そういえばそんな単語もあったね」という世界になる、それが最終地点なのかもしれません。
これまでは特に考えたことはなかったという方も、あまり考えたことがなかったという方も、このコラムをきっかけに少しでも考えていただければ幸いです。
(文/弁護士・佐藤大和)